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 抗がん剤が効きにくくなった前立腺がんの患者にC型肝炎の治療薬リバビリンを使うと、抗がん剤の治療効果が再び高くなることを慶応大の大家基嗣(もとつぐ)教授(泌尿器科)らのチームが見つけた。来春にも医師主導治験を始め、効果や安全性を詳しく調べる計画だ。京都市で開かれている日本癌(がん)治療学会で発表した。

 進行した前立腺がんの標準治療に使われる抗がん剤ドセタキセルは、投与を繰り返すうちに効きにくくなる場合が少なくない。チームは、リバビリンを併用するとドセタキセルが再び効くようになることをマウスで確認。そのうえで、ドセタキセルが効かなくなった60~80代の患者5人を対象に、リバビリンを1~2週間のんだ後にドセタキセルを点滴する併用療法の臨床試験を実施した。

 その結果、2人でがんの進み具合の目安となる腫瘍(しゅよう)マーカーの値が下がった。1人では骨に転移したがんが消えていた。大きな副作用はなかった。

 大家教授は「リバビリンはすでに肝炎の薬として安全性が確認されている。効果が確かめられれば、比較的早期に治療に使えるようになるかもしれない」と話す。(竹石涼子)