オレは警察官が嫌いだった。
皆さん経験ありませんか?
高圧的な職務質問、卑怯とも取れるネズミ捕り。
ピークの下校時間も少し過ぎた午後16時頃の話。
その日はシトシトと雨が降り、濡れた作業着から伝わる冷たさが冬が近い事を告げていた。
配達する物もあと少し。
びしょびしょになった帽子を一旦脱ぎ、車の中に放置してある小汚いタオルで顔と肩口を拭う。
体温と室温の差で、窓がどんどん曇っていく。
煙草を咥えながら車のヒーターを付け、風力を最大に上げた。
ボー
風が吹き出すと、無造作に置いていた伝票が
パタパタと音を立て、オレをからかう様にヒラヒラ舞った。
煙草を揉み消し、もうひとっ走り行くかと県道に向かい走り出した。
十字路で信号が黄色に変わり、オレは先頭に止まった。
左を見ると、黄色いレインコートでランドセ ル諸共包み込んだ小学生。
オレの目の前を横断する為に歩行者信号が変わるのを待っていた。
だけなら普通のありふれた光景だが、この子は走り出す準備をしていた。
よーい、ドンのよーいのポーズをし、体を前後に揺らし、今にも飛び出す勢いだ。
(あぶねーな)
そう思っていると歩行者信号が青に変わった。
思った通り、小学生は走り出した。
しかし、左折してくる車に阻まれ、横断歩道の三分の一程で足止めをくらった。
(渡らせてやれよ)
どんどん流れてくる左折車に苛立ちを覚えながら見ていると、
パッ
左折車の列の後方で赤燈が光った。
パトカーだ。
2台の車が左折した後にパトカーが左折してきた。
しかしパトカーは小学生を大分前から認識していたらしく、当然横断歩道の手前で赤燈を回しながら停まっている。
車の流れが停まった横断歩道を、小学生は左手を大きく上げながら駆け抜けて行った。
オレ見てたもんね。
ポリさん2人共笑顔で敬礼してた。
小学生は見てないのに。
おまわり、やるじゃん(^-^)