中国:「一人っ子政策」廃止 「第2子」認める
毎日新聞 2015年10月29日 20時19分(最終更新 10月30日 00時51分)
【北京・工藤哲】北京で開かれていた中国共産党の第18期中央委員会第5回総会(5中全会)が29日閉幕し、人口抑制策として1979年に導入した「一人っ子政策」を廃止し、すべての夫婦が2人まで子供を産めるようにすることを決めた。一人っ子政策は部分的に緩和されていたが、全面的な廃止方針が示されたのは初めて。急速に進む少子高齢化に伴う15〜64歳の労働力人口の減少が、経済減速につながるとの危機感から政策転換に踏み切った形だ。
閉幕後公表されたコミュニケ(公報)は「人口の均衡ある発展を促進するため、計画出産の基本国策は堅持する。しかし人口発展戦略をより完全なものにするため、1組の夫婦が2人の子供を産める政策を全面実施し、積極的に高齢化に対する行動を展開していく」とした。
世界最大の13億人の人口を抱える中国は、一人っ子政策の長年の実施によって急速な人口増加に歯止めをかけてきた。一方で、当局による強制的な堕胎の横行や戸籍のない子供への社会的不利益など人権上の問題も起きていた。
国連の世界人口推計によると、中国の人口は2028年に14億人超でピークに達した後、減少に転じると予想されている。経済成長に密接に関わる労働力人口はピークの13年から既に減少に転じており、人口抑制策を大幅に緩和することで経済成長の維持を図る狙いとみられる。ただ、コミュニケは開始時期を示しておらず、来年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で詳細を公表するとみられる。
総会ではさらに、胡錦濤前国家主席の元側近で汚職などの責任を問われていた令計画前党中央統一戦線工作部長や、周永康前政治局常務委員に近かった周本順前河北省党委書記らの党籍剥奪を追認した。