実際に南シナ海での緊張は米国のリバランシング政策と安倍首相に対抗する中国の「接近阻止・領域拒否(A2AD)戦略」がぶつかってことで生じたという分析が聞かれる。すなわち、安倍首相はリバランシング政策に積極的に賛同する日本と米中の間であいまいな立場を取ってきた韓国の状況を対比し、韓国を苦しい立場に追い込む可能性があるということだ。
一方で、むしろ韓国が南シナ海問題を進んで取り上げるべきだとの意見もある。韓国外交部の北東アジア局長を歴任した東西大の趙世暎(チョ・セヨン)特任教授は「慰安婦問題もそうだが、今回の会談ではこれといった成果が期待できない。むしろ非公開を前提として韓日首脳が南シナ海問題のような地域情勢を突っ込んで話し合う方が生産的だ」と主張した。
韓日関係で最大の懸案である日本軍の従軍慰安婦問題は、今回の会談でも解決策を見いだすのは困難とみられる。韓国大統領府(青瓦台)幹部は「慰安婦問題は一時合意直前まで行ったが、日本が土壇場で立場を変えた。(会談結果は)韓国が期待する水準にはるかに満たないものになるはずだ」と話した。
韓日両国は今年前半、▲日本の首相による謝罪書簡作成▲元慰安婦の女性に日本の駐韓大使から手紙を送る▲日本政府の予算で被害者補償を行う――などの点を柱とするいわゆる「佐々江案」を参考にして、妥協点を探っていたとされる。
しかし、日本政府が今年7月に突然強硬な態度に転じた。同幹部は「7月に(朝鮮人強制徴用の歴史がある)日本の近代産業施設の世界遺産登録過程で日本の外務省が韓国外交部との交渉を誤ったと批判されたことが決定的だった」と分析した。
共同通信によると、安倍首相は28日夜、日本メディアに対し、「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と慰安婦問題を含め、率直に意見交換したい」と述べた。安倍首相は「(朴大統領と)未来に向かってどんな関係を構築するかについても率直に話し合いたい」とした。また、韓中日3カ国首脳会談については、「経済、文化、安全保障、環境、人的交流などさまざまな分野で胸襟(きょうきん)を開き、率直に意見を交換したい」と語った。