朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と安倍晋三首相による韓日首脳会談が実現するまで、両国間には複雑な外交上の計算が行き交った。「どちらの方がより会いたがっているのか」をめぐり、3年近く神経戦が続いていた。今回の首脳会談は、こうしたわだかまりが解消された結果というよりも、解消するため最初のボタンを掛けた段階と見なすことができる。
これまで外部的には、日本の方が会談を求め続け、韓国の方が「歴史問題が解決しなければ会うことはできない」と優位な立場にいるように見えた。安倍首相は2012年の朴大統領当選直後からずっと会談を求め続けてきた。「朴大統領の就任式に出席する」と一方的な記者会見をしたり、国際会議の場で予告なしに訪ねてきたり、自分の祖父と朴大統領の父・朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領との縁を強調した親書を送ったりしてきた。だが、韓国政府は安倍首相が侵略の歴史を否定し、靖国神社参拝を続けながら朴大統領に会談を求めるのは「韓国を見下す欠礼外交」としてきた。
しかし、こうした日本の姿勢に対しては「実際に韓日関係を改善しようとしているのではなく、『韓国と仲良くしようとしているのに、韓国の方が避けている』と米国に見せるための『外交上の演出』との見方が多い。日本の外務省や内閣では『日米関係が最高の状況で、日中関係も良くなれば、韓国は孤立することを懸念して(日本に)従うしかない』という戦略が固まりつつあると外交消息筋も言ってきた。米国の外交関係者の間では『日本は努力しているのに、なぜ韓国は前向きな回答をしないのか』などと、今年初めから『韓国疲労症(Korea Fatigue)』説を広める親日派の人々も出始めた。
朴大統領が先日の訪米により韓日首脳会談開催の方向で気持ちを固めたのも、こうした背景があるためとの見方がある。今年5月ごろ、朴大統領が「歴史問題とその他の懸案を分ける」と見解を変えたのも、韓日関係を改善するよう米国が注文したことが働いたと言われる。また、安倍首相も「侵略の歴史に目を閉ざしている」という国際社会の声に負担を感じたものと見られる。韓国外交部(省に相当)で次官を務めた金聖翰(キム・ソンハン)高麗大学教授は「対話を要求し続けてきた安倍首相は『真実の瞬間』に直面するだろう」と言った。