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NHK“差別表現”訴訟、台湾先住民の勝訴判決見直しか 最高裁が弁論指定
日本の台湾統治を扱った番組が名誉毀損に当たるとして、出演した台湾先住民のパイワン族の女性がNHKに損害賠償を求めた訴訟の上告審で最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は8日、当事者双方の意見を聞く弁論を11月26日に開くことを決めた。2審の結論を変更するのに必要な弁論が開かれることから、名誉毀損を認めNHK敗訴とした2審東京高裁判決が見直される公算が出てきた。
問題になったのは平成21年の4月放送のNHKスペシャル「シリーズJAPANデビュー」の第1回「アジアの“一等国”」。1910年に英国で開かれ、パイワン族の生活を紹介した日英博覧会の写真に「人間動物園」とテロップを表示し、西欧諸国が植民地の人々の生活を見せ物にしたことを日本もまねたと紹介。父が博覧会に参加した原告の女性が番組に出演した。
1審東京地裁は「歴史的事実を紹介したに過ぎない」と原告側敗訴としたが、2審は「深刻な人種差別的意味合いを持つ言葉で、女性の名誉を傷つけた」として、NHKに100万円の賠償を命じた。