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辺野古移設:政府「承認取り消しは違法処分」工事急ぐ考え

毎日新聞 2015年10月27日 23時50分

 政府は27日の閣議で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先となる同県名護市辺野古沖の埋め立て承認を翁長雄志(おなが・たけし)知事が取り消したことに対し、地方自治法による承認の代執行手続き開始を了解した。また、石井啓一国土交通相は同日、承認取り消し処分の一時執行停止を決定。これを受けて、防衛省は速やかに埋め立ての本体工事に着手する方針だ。

 菅義偉官房長官は27日の記者会見で「何ら瑕疵(かし)のない埋め立て承認を取り消す違法な処分であり、普天間飛行場の危険性除去が困難になり、外交・防衛上、重大な損害を生じる」と述べ、今回の知事の処分は代執行の要件を満たすという見解を示した。国交省は28日にも県に承認取り消しの是正を文書で勧告する。県が応じない場合、高等裁判所に提訴し勝訴すれば、公有水面埋立法を所管する国交相が埋め立て承認を代執行する。

 一方、石井氏は会見で「承認取り消しによって普天間飛行場の移設事業の継続が不可能になり、周辺住民に重大な損害を生じる」と執行停止の理由を説明した。中谷元(げん)防衛相は、執行停止決定書が28日にも沖縄県に届くことを踏まえ、現在中断している辺野古沖での海底ボーリング調査の再開と、埋め立ての本体工事開始を急ぐ考えを表明した。

 翁長氏は13日に埋め立て承認を取り消したが、沖縄防衛局は行政不服審査法に基づき国交相に審査請求し、裁決までの間、承認取り消し処分の効力停止を求めていた。国交相が沖縄防衛局の主張を認めたことに対し、27日夜に那覇空港で記者会見した翁長氏は「強い憤りを覚える。内閣の一員として結論ありきの判断をしたと言わざるを得ない」と批判した。【高本耕太、坂口雄亮】

 ◇代執行

 都道府県が国の仕事を代行する「法定受託事務」について、知事による管理や執行に法令違反などがあり、放置すれば公益を著しく害する場合に、担当相が知事に代わってその事務の手続きを行うこと。地方自治法の規定による。知事が担当相の是正勧告に従わず、高等裁判所が国の請求を認めることが前提になる。

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