自分より他人が優れている。テレビなどでそれを見ても気にならないものだが、身近な人でそれに気づくと、「あいつより私の方が優れているに決まっている」だとか、「あいつは正当な評価を受けていない」だとか、妬む人間が多い。
正直、私にもそういう部分がある。20代の頃よりはずいぶんマシになったが、それでもまだ身近な人の評価を気にしたり、比べたりしてしまう。本心ではこんな妬みなど捨ててしまいたいのだが、その業を断ち切るのは簡単ではなさそうだ。
それにしてもなぜ、他人と比較して妬んでしまう気持ちが生じるのだろうか。それはおそらく自分の足場をしっかりと築いていないからだと考える。漠然とした、抽象的な表現になってしまったが、これは何となく確信がある。
たとえ話をしよう。
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社内でも優秀と評判のAは、何をやらせても人並みを超える結果を出す人材であった。今日も部長から「A君、今日も見事な仕事だね!」という風に褒められ、評価される。それを聞いたBは、表面では笑顔でも内心は嵐が渦巻く。(なぜAばかりが評価されるのだ。俺だってこんなに頑張っているのに!)こんな具合に、Bはいつもフラストレーションを溜める。彼は可もなく不可もない評価を受けているが、特に何かに打ち込んで向上心を燃やすタイプでもなかった。
Cという男がいる。システム部門に所属しており、あまり目立つことが無いが、マイペースな男と評判である。CもAの評判は知っていたが、彼にAを妬む気持ちはない。淡々と自分の仕事をこなすだけである。
ある時、BはCに聞いてみた。
B「Aがあんなに評価されるのは不当だと思う。年の近いお前なら、この気持ちがわかるだろう。内心ではそう思っているのだろう?」
しかし、Cはこう答えた。
C「いや、まったく思わないね。むしろ、彼は頑張っていると考えているよ。BはAに、何か勝るものがあるかい?」
B「う~ん...すぐには思いつかない」
C「そうか。僕はね、Aにできないことができるよ。それはシステム的なことで、これならAにだけじゃなく、だれにも負けない自信があるんだ。だから、僕はこれを武器にして仕事をしているんだ」
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仕事において専門分野に強くなりたいのであれば、勉強や努力は必要だ。おそらく、Cは人知れず努力を重ねてきたのだろう。
努力や勉強ありきという話でもない。現在の自分の中にある「私にはこれがある」というものを持つことで、Cのような境地に達することは可能だと思う。
全ての分野で1番になりたいというのは思い上がり。そんなことはできっこない。できっこないことをやろうとして、人と比べて気を揉む。そうではなく、人に負けない何かを自分の中に持って、胸を張って生きよう!
私は伝えたかったのはこれ。
ちなみに私には「落ち込んでも立ち直りが早い」という特技がある。それを武器にして、半ば開き直って生きていこうと思っている。