著作権判例百選:有斐閣に改訂版の出版差し止め命じる
毎日新聞 2015年10月28日 20時49分
◇著作権侵害 東京地裁が仮処分決定
裁判の判例解説で知られる専門誌「判例百選」シリーズの「著作権判例百選」の改訂版出版に当たり、編者の氏名を無断で外すのは著作権侵害に当たるとして、東京地裁(嶋末和秀裁判長)は26日付で、出版元の有斐閣(東京都千代田区)に改訂版の出版差し止めを命じる仮処分決定を出した。
仮処分を申し立てたのは東大大学院法学政治学研究科の大渕哲也教授(55)。2009年12月に発行された「著作権判例百選第4版」の編者の一人として表紙に氏名が記載されたが、今年11月発行予定の5版では有斐閣から編集の依頼はなく、編者からも外されることが決まり、「5版は4版とほとんど内容が同じで、無断で編者から外すのは著作権侵害」と訴えた。
決定は「5版は、収録判例や執筆者の8割超が4版から維持されており、2次的著作物に当たる」と判断。「大渕教授の合意なく5版の編者から氏名を外すのは、4版を意に反して改変したと言わざるを得ない」と指摘し、著作権の侵害に当たるとした。
有斐閣は「決定を精査した上で今後の対応を決めたい」としている。【島田信幸】