米第7艦隊所属のイージス駆逐艦「ラッセン」は27日、中国が領有権を主張している南シナ海・南沙諸島(スプラトリー諸島)の人工島から12カイリ(約22.2キロ)以内の水域へ進入を強行し、米中間の軍事的緊張が高まっている。
専門家らは、現時点で米中が武力衝突する可能性は高くないとみているが、双方がにらみ合う過程で偶発的な衝突が起こる可能性を懸念している、人工島が本格的に建設される前から、米中両国は南シナ海で鋭い神経戦を繰り広げてきた。翰林国際大学院大学のキム・テホ教授は「米国内にも戦争につながる可能性への懸念があり、中国の軍事委員会の高官も最近『われわれは主権に関する事項であっても武力をむやみに使用することはしない』と言及しており、軍事的衝突が現実になる可能性は取りあえず低いが、双方が意図しない衝突の可能性は排除できない」と語った。
紛争水域の南沙諸島で中国が人工島建設を強行し、米国がこれに強硬な対応をしているのは、南シナ海の戦略的重要性はもちろん、米中の対応戦略が衝突しているからだ。中国は、南沙諸島の各人工島を中心に戦略拠点を確保しようとする戦略を取っているが、ここには、アジア・太平洋地域に存在する米国の海軍力・空軍力の影響圏を縮小しようとする狙いも含まれている。中国は、海軍力・空軍力の増強を通じ、南シナ海や西太平洋などで米国の活動範囲を狭める「接近阻止・領域拒否(A2AD)」戦略を進めてきた。
このため中国は、南シナ海を担当する南海艦隊などの戦力を集中的に増強してきた。中国は、最近建造した新しい052D型イージス駆逐艦4隻を、全て南海艦隊に配備するという。052D型駆逐艦は中国の次世代海軍戦略の中心戦力で、64セルの垂直発射装置から対艦・対空・対潜ミサイルを発射できる。中国が2013-14年に実戦配備した17隻の艦艇のうち、南海艦隊には7隻が配備されたという。
米国はこれに対抗して、海軍力・空軍力を有機的に結合させることで中国のA2AD戦略を無力化する「エア・シー・バトル」構想を発展させてきた。アジアを重視するリバランス戦略に合わせたものだ。ニミッツ級原子力空母10隻のうち、半数を超える6隻を太平洋地域に配備する計画を進め、新型の戦闘艦および原子力潜水艦、F22ステルス戦闘機、新型のP8海上哨戒機などを在日米軍基地をはじめとするアジア・太平洋地域に集中配備しているのも、そのせいだ。さらに、南シナ海で中国海軍の活動をけん制できる滑空機雷を投下する案も検討されているという。米国のランド研究所が今年発刊した『米中軍事力点数表』という報告書によると、南沙諸島で米中の軍事的衝突があった場合、米国は海・空軍力の面で、1990年の時点ではかなり優位にあったが、徐々に格差が縮まり、2-3年以内に米中は対等、もしくは中国がやや優勢な状況になるという。