辺野古移設:振興費直接支出へ 菅氏、3区長と懇談
毎日新聞 2015年10月26日 22時34分(最終更新 10月26日 22時44分)
政府は26日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、移設先の名護市辺野古周辺にある3地区の区長との懇談会を首相官邸で開いた。条件付きで移設を容認する3地区に対し、菅義偉官房長官は年度内に地域振興費用を直接支出する方針を伝えた。移設に反対する名護市抜きに財政支援することで、市をけん制する狙いがある。
対象は辺野古、豊原、久志の3地区。政府は米軍再編への協力が前提の「再編交付金」制度を設けているが、名護市で反対派の稲嶺進市長が当選した2010年以降、支給を中止している。交付金を財源にした市事業が中断しているため、3区長は国に対し、地区会館の設備修繕費などの直接補助を求めていた。
国が自治体を通さずに地域に財政支援するのは異例で、数千万円規模になる見通しだ。菅氏は「移設の影響を最も受けるみなさんにできるだけ配慮するのは当然だ」と述べ、支出の枠組みや法的根拠の検討を急ぐ考えを示した。
一方、稲嶺市長は26日、市役所で記者団に「制度もまだ検討中で、簡単にできるとは思わない」と政府の対応に疑問を表明。「地方自治への介入だ。市長が反対しているから市を通さずに交付金を支出するのは分断工作だ」と批判した。【高本耕太、佐藤敬一】