中野晃
2015年10月28日22時46分
太平洋戦争末期に韓国・済州島沖で米軍から攻撃を受け、沈没した「寿山丸(じゅざんまる)」(3943トン)とみられる船体が海底で見つかった。寿山丸は旧海軍が民間から徴用した船で、近くでは乗っていた人の遺骨の可能性がある頭蓋骨(ずがいこつ)の一部も確認された。戦後70年。戦争が市民を巻き込んでいく実態が改めて浮かび上がる。
寿山丸とみられる船体が見つかったのは済州島の北西約1キロ沖の海底。戦争関連企画に取り組んでいた韓国の地元放送局が6月、戦時中にこの海域で寿山丸などを撃沈したとされる米国の潜水艦の記録などに基づいて調査し、確認した。
水深約12メートルの地点に船べりとみられる長さ約100メートルの鉄板が砂地に埋もれていたほか、軍用ヘルメット、弾薬、桜の模様が入った瀬戸物の破片などもあった。
済州島の海洋警察署が韓国国立科学捜査研究所に頭蓋骨の鑑定を依頼。研究所にある韓国人のDNA型とは類似せず、日本人の骨の可能性が出てきた。研究所のチョン・ジョンミン博士は朝日新聞の取材に「歯の保存状態がいい。直系の遺族がいれば、身元の確認が可能だ」と話す。
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