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「八紘一宇を削れ」「何度でも来る」…平和の塔をめぐり、宮崎に仕掛けられた根拠なき歴史戦

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「八紘一宇を削れ」「何度でも来る」…平和の塔をめぐり、宮崎に仕掛けられた根拠なき歴史戦

要請文を手に、礎石の返還を求める南京民間抗日戦争博物館の呉先斌館長(中央右から2人目)

 「全南京市民を代表する」と称する呉氏は、面会後の記者会見でも「県が誤った認識を改めるまで何度も足を運ぶ。この問題に関心がある市民はたくさんいる。今後は参加者を募集することも考える」と、宮崎への組織的な“返還要求ツアー”に言及した。

 呉氏の発言は、従来の中国政府による対日歴史戦と軌を一にするものと判断するほかない。

 中国側の“いちゃもん”の長期化が懸念されるが、そもそも日中間の戦争賠償は決着済みだ。

 中国政府は昭和47(1972)年の日中共同声明で「日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する」と宣言した。日本の最高裁も「個人の損害賠償などの請求権を含め、戦争の遂行中に生じたすべての請求権を放棄する旨を定めたと解される」との判決を下した。

 記者会見で、この点について問われた呉氏は「今回は石の返還についての交渉で、裁判を起こすつもりはない。請求権の話題に触れることはない」と述べるにとどめた。

 しかし、請求権が存在しなければ返還「義務」は存在せず、要求の正当性が揺らぐ。論点を曖昧にした態度といえる。

 礎石の返還か、神武天皇以来の国家理念の削除か-。中国側は宮崎県という一地方自治体に歴史戦を仕掛けている。

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