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 フィギュアスケート男子の羽生結弦(ANA)とパトリック・チャン(カナダ)が、30日(日本時間31日)開幕のグランプリ(GP)シリーズ・スケートカナダで、金メダルを争った2014年ソチ五輪以来初めて直接対決を迎える。五輪王者の羽生はどのような思いで臨むのか。

 約1年8カ月ぶりの競演を前に、羽生は語る。「いまの自分がパトリック選手と戦う気持ちは(2季前と)まったく違ったものだと思う」

 ソチ五輪シーズンだった2季前。羽生は、GPシリーズ初戦のスケートカナダ、2戦目のフランス杯ともに、30点前後の大差をつけられた。フランス杯の直後には「どうしようもない」と心が折れそうになったこともあった。

 だが「他人を気にするよりも、自分のできることをやるだけ」と切り替え、GPファイナルで初優勝。初めてチャンを破って表彰台の頂点に立った。勢いに乗り、五輪でも金メダルを手にした。

 五輪後、二人は違う道を歩んだ。羽生は衝突事故や手術を乗り越えながら、試合に出続けた。チャンは1年間、競技会から離れ、心と体の休養に充てた。そして迎える対戦。構図は、五輪王者の20歳の羽生に、24歳になったチャンが挑む形に逆転した。羽生の心にも、2季前とは違う気持ちが芽生えている。