「あさが来た」で松殿山荘に脚光 姉の嫁ぎ先移築
平安時代の関白・藤原基房の別荘跡地にある宇治市木幡の松殿(しょうでん)山荘が、NHK連続テレビ小説「あさが来た」の放映で、注目を集め始めている。建物の一部に、主人公の姉の嫁ぎ先としてモデルになった大坂の両替商、天王寺屋五兵衛の屋敷の一部が使われているからだ。江戸時代の豪商の暮らしぶりを感じることができる。29日から特別公開が始まる。
■29日から特別公開、豪商の生活体感
天王寺屋五兵衛は1628年に開業し、信用取引に用いる手形を創始したとされるなど格式高い両替商だった。しかし、明治維新の混乱で明治初期に閉店した。
松殿山荘を建てた茶道「山荘流」流祖で弁護士だった高谷宗範(たかやそうはん)(1851~1933年)が1886年、抵当物件だった屋敷を事務所兼自宅として買い取った。「余生はお茶の世界で生きる」。高谷は1918年に基房の別荘だったとされる松殿(まつどの)の跡地を購入。茶室や書院などで構成した松殿山荘を自ら設計した。
高谷は山荘内に、天王寺屋の屋敷も巧みに取り入れた。移築したのは大玄関や七畳の茶室「楽只庵(らくしあん)」などで、屋敷の大黒柱は削って30畳の大書院の床柱として用いた。スケールの大きさから豪勢な暮らしぶりがしのばれる。
ドラマの放送で、問い合わせが寄せられているという。高谷のひ孫で山荘を管理する松殿山荘茶道会の平岡己津夫代表理事(67)は「建物を通して天王寺屋を理解してもらう一助になれば」と話す。
29日から11月7日までの特別公開は平安時代に流行した歌くらべ「今様合(いまようあわせ)」が主なテーマで、今様合を再現する催しや講演会、解説ツアーがある。11月21、22日は秋の特別公開(申し込みが必要)を行う。いずれも有料。詳細は松殿山荘ホームページで。
【 2015年10月28日 22時50分 】