【前回までのあらすじ】
あれっ? あれれっ? 僕のパスポートがないっ!!?
「どうしたんだい? ムーミン」
「あっ、ぱぱっ! ぼっ、僕のパスポートがないんだ! 日本に帰れないよ!」
「はっはっはー、なあにを心配してるんだね、ムーミン。ムーミンワールドにパスポートなんて不要さ。それにね、あったものがなくなるなんて、ここではよくあるはなしじゃないか」
「そ、そうだっけ?」
「そうさ。すべては春風のいたずらなのさ、ムーミン」
「そっか、なるほどね! 、、、ってそんなわけあるかあっ!!! 普通に泥棒じゃぼけ!」
私はムーミンパパを張り倒した。すると、パパの懐から私のパスポートがポロリと零れ落ちた。
「こ、これは、、、」
「ぐっ、見られては、仕方ない、、、日本人のパスは高く売れるんでな、げはははは」
「くっ、くうぅぅぅぅ! ムーミンパパああああ!」
「うははははは! かかってくるがよい! ムーミン! オレの屍を超えていくがよい!」
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉおおお!」
「ぬぅぅぅおおおおおおぉぉぉっぉ!!」
なんていうのは嘘で、、、毎度すみません、、、今日はタイで出会った怪しい日本人列伝です。
チェンマイに来て、道を歩いてて日本人に出会うことはありませんでした。それでも何カ所かある日本人コミュニティには立ち寄ってみて、話をしました。バンコク駐在で、休暇に遊びに来た人。転職を機に旅してる人。
そして必ず一定数居る、独特の人たち。私は今回二人で会いました。そこで以下、彼らとの実録会話例をお二人、ご紹介したいと思います。
★ボブ・マーリィ的風貌の人★
ボブA「昔はさ、もっと物価安くてさ、食い物も、女も。たしか今の半額ぐらいだった気がするわ」
私 「そうなんですか」
「そうそう。そんで昔は、民芸品とか、民族衣装とか、そういうのを買い付けてきて日本で売りさばいてもうけてたってワケ」
「へえー」
「そういやさ、夜になるとその辺に立ちんぼが出るじゃない」
「はい」
「オレ、若いときさ、夜酔っぱらってフラフラ帰るときに、ほら、アイツラってさ、夜道歩いてると道の向こうから、チュッ、チュッ、とか唇ならしたり、ミャーオ、なんて猫の泣き真似して手招きしてくるじゃん」
「ええ」
「で、あれはさ、結局ほとんどがオカマでさ」
「へえ」
「そうなんだよ。で、なんか顔は整形で随分綺麗だからさ、最近のオカマはすごいぜ、喉仏だって手術で取っちゃうんだからもうわかんないわけよ」
「ほお」
「で、普段ならビアバーの女持って帰るんだけどもさ」
(こういう感じのお店にたむろしているお姉さんはすごい呼び込みしてくれて、で、一緒にビール飲んでると「お持ち帰りしてよ。二千バーツで」的なことを言ってくるらしいです。それが証拠に表で手をつないで歩いてる白人多数)
「その日はなんか疲れてて、オレも酔ってたからそれオカマだとかどうでもよくて、マリファナ吸いたいなあって思ってさ、道ばたの女にウィード持ってるか? つったら持ってるっつーから、誘われるがままについてったら結局最後はやっぱりオカマでさ! まあ道端で捕まえたんだから当然そうなんだけど、疲れててお酒飲んじゃうとだめだよね~特に、タイでは」
「ほえ」
「で、二人でおとなしくマリファナ吸ってサヨナラしたワケよ」
「はー」
「でも最近のオカマって綺麗だからよー。びっくりするよな。欧米人なんてお酒は入ったらなんでオッケーだから結構買ってるよね、実際。オレさ、さっきそこ歩いてたらさ、車が横に止まってさ、お兄さんどっからきたの? 何歳? これから私の家でお酒飲まない? なんて誘ってくるのよ。でも声が完全に男でさ、いや、顔は超キレーなのよ? あれにノコノコついて行ったらどうなってたのかと思うと面白いよねー」
昔はオレも随分女買って薬でトんで危ないことしてきたんだぜ?
なんて自分の昔話をガンガンしたがる良い年してもなおトンガった、良くも悪くも元気なボブ・マーリィ。
★リリーフランキー的風貌の人★
私「チェンマイには昔から良く来てるんですか?」
リリーさん「そうだね。年に一回くらいは来てるね。若い頃はバンコクも良いけど、やっぱりこっちの方が落ち着いていいよね。もっと北へ行くのも良いけどさ」
私「もっと北って、なにがあるんですか?」
リリーさん「チェンライとか。最近だとパーイとか?流行りだよね」
「そうなんですか」
「うん。北の方はね、少数民族に加えて中国から流れ込んできた人らもいてチャイナタウンがあったりするんだ。食い物も中国風のが多くて面白いんだよね」
「へえー、行ってみたいですね。そういえば、私はバンコクからチェンマイへは寝台特急で来たんですがーーー」
「ーーーええっ! あれにのったの? メチャおんぼろでしょ?」
「まあそうですね。走行中に普通にドアあきっぱですからね。壊れてて。なんですが、わたくしちょっとテッチャン入ってるもので、東南アジアを走るJRの旧ブルトレ車両にどうしても乗ってみたくて乗りまして」
「はー、そうなんだ。テッチャンってすごいんだね」
「いえいえ、たしなむ程度です」
「なるほど」
「で、そのとき同室になった白人の二人が、そのパーイに行くって言ってたんですよ」
「あそこは日本人はここよりもっといないけど、欧米系に人気なんだよねー。あと、タイ人の観光客もめっちゃ多いよ。なんかあの街を舞台にした映画が流行ったんだって。小さくてかわいい街さ。でさ、面白いのがさ、昔のあの辺りとかもっと北の村の宿って高床式の伝統的な木造の家だったりするわけよ」
「ふんふん」
「で、そこの来た奴らがマリファナ吸うじゃない」
「まあ、そうなんでしょうね」
「で、吸い終わったそれを床下に捨てるじゃない」
「まあ、捨てるでしょうね」
「するとさ、種が混じってるのか床下に勝手に大麻が生えて来ちゃってさ!ww」
「ええっ!」
「そうなんだよ。それでさ、手持ちが切れちゃったから、売ってくんないかって聞いたらちょうど今切らしてて、明日になったら手にはいるから、それまでは床下のアレを干したのがあるからそれでも吸ってろ、安くしといてやる、とかなんか言われてさww あんな生乾きのシケモク吸えるかっての!ww」
「なるほどー」
(ワーオ。結局みんな大麻かーい)
「君は、なにしにきたの?」
「観光ですね。普通に。象に乗ってみたり、ドイ・ステープ見に行ったり、うまい飯くったり。お兄さんは、なにしにこられたんですか?」
「うん。まあ、毎年来てるんだけど、ちょっと友人に頼まれたりしてちょっと買い付けにね」
「そうなんですねー」
(なにを買い付けるのさ。聞きたいけど聞けねえー)
なんていう、すごく穏和で聞き上手な雰囲気を醸し出しつつ、やっぱり出てくる話がそういう感じの人。でも、なにを買い付けてるのかは、聞けない!
(多分なんかソッチ系のもんな気がするー、けど本当にそうだったらやだから聞かなーい、きけなーい。だって、以前「おっぱいフルーツ」をベトナムから持ち帰ってきてもらったときみたく、ように普通にビニール袋に入れてりゃハッパだろうがなんだろうが案外すんなり入れてそのまま持ち帰ることは可能なわけで、、、)
さて、このドラッグ・パラダイス感はなんだろう、と思い帰国後調べました。
タイ・ミャンマー・ラオス国境の一帯は、かつて黄金の三角地帯と呼ばれ、現地の少数民族を焚きつけて大規模な麻薬栽培が行われていたそうでした。いまでこそタクシンン政権の猛烈な取り締まりにより麻薬組織は壊滅したそうですが、それでも裏路地入ればマリファナぐらいならぜんぜん売ってるそうでした(私はやってないので真偽のほどは定かではない)。私が初日に見た、頭トんでるヨイヨイの白人ヒッピー爺は、そんな時代の生き残りなのでしょう。
とにもかくにもタイ北部は天然植物の宝庫のようです。元々は木造の高床式住宅に住む稲作農耕民族だったのに、そこへ西洋人が流れ込み、文明が混ざり、外国人でも居心地が良く、それでいて忙しないバンコクとは一線を画した一種独特のゆったりとした空気感ができあがったようです。私にとっては香草が美味い街。薬物好きにしてみれば、退廃的でダラリとして居心地の良い街、なのでしょうか。
ココまで書いておいて思ったことは、「しまった! 話にオチがない!」ということです。
まあいろいろあるけれど、とにかくチェンマイは楽しいところD★A☆Z★E☆彡
次回、旅の終わり。
山の上の寺院ドイ・ステープに行きます。それから、中国人団体観光客に苦しみながら象さんに乗ります!