韓国サッカー界においてバックパスは長年抱えてきた持病だった。ミスを恐れてバックパスを多用し、ファンから「パスなのか、責任逃れなのか」などとやじられることも多かった。それでも全北現代の崔康熙(チェ・ガンヒ)監督は「欧州ではバックパスを2回やるとやじられるが、韓国ではまだそこまではいかない」と語る。
韓国はこれまで国際サッカー連盟(FIFA)主催の大会(五輪含む)に36回出場しているが、最初の2試合で連続勝利、しかも無失点で決勝トーナメントに進出したのは今回の17歳以下(U-17)ワールドカップ(W杯)が初めてだ。本紙はKリーグの公式データ分析会社、「チームトゥウェルブ」に依頼し、今大回の韓国チームの予選リーグ3試合の内容を詳しく分析した。
チェ・ジンチョル監督は「今回のU-17韓国代表の基本的な戦略としては堅い守備を基盤とし、攻撃に転換するときは細かい前進パスでチャンスを狙うというものだ」と語る。データもチームのこのようなスタイルを数字で物語っていた。
韓国チームは相手にボール支配率やパスの回数で大きく差をつけられる状況でも、攻撃に関しては前へのパス(相手ゴール方向の左右45度以内の選手に送られるパス)の割合で相手を上回っていた。パス全体のうち前へのパスが占める割合はブラジル戦(44.3%)、ギニア戦(43.6%)、イングランド戦(42.7%)の全てでほぼ同じレベルを維持していた。
これに対して対戦相手3チームの前へのパスの割合が40%を上回ることは1回もなかった。ブラジルは韓国との試合で539回パスをしたが、前へのパスはそのうちの149回、全体の27.6%だった。チームトゥウェルブのイ・ジョンシク氏は「韓国代表のパス全体の数にはほとんど変化がないが、一方で前へのパスの割合もほぼ一定のレベルを保っている。これは要するにどのような状況でも攻撃のスタイルを維持しているということだ」と分析した。
その結果、当然バックパスは減り、3試合における韓国代表のバックパスが占める割合はいずれも15%を下回った。ちなみにフル代表のバックパスの割合は通常30%前後と推定されている。2014年のブラジルW杯のロシア戦は34%、11年のW杯予選のUAE戦は28%、10年の南アフリカW杯のギリシャ戦では25%だった。それが今回のU-17ではバックパスの割合がフル代表の半分にまで減ったのだ。