河原田慎一
2015年10月28日13時48分
選挙区によって投票価値が異なるのは憲法違反だとして、二つの弁護士グループが、最大2・13倍の「一票の格差」となった昨年12月の衆院選の無効を求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は28日午前、弁論を開いた。弁護士グループと全国の各選挙管理委員会の双方が意見を述べ、午後に結審する。判決は年内にも言い渡される見通しだ。
昨年の衆院選は、各都道府県にまず1議席ずつ割り振り、残りの議席を人口比に応じて配分する「1人別枠方式」を廃止したうえ、小選挙区の議席を「0増5減」して実施された。
午前中の弁論で、山口邦明弁護士らのグループは「0増5減を実施しても、議席の増減のなかった大半の選挙区では実質的に1人別枠方式が残り、人口に比例した議席配分となっていない」と訴えた。午後には升永英俊弁護士らのグループが意見を述べる予定。
選管側は「選挙区割りは、国会で考慮して決めることだ。新たな選挙制度の検討には時間がかかるが、違憲となるほど長期間、国会が是正しなかったとは言えない」と反論している。
最高裁は2009年と12年の2回の衆院選について、ともに「違憲状態」と判断している。ただ、12年に2・43倍だった格差は、昨年の衆院選では「0増5減」により2・13倍に縮小している。最高裁が国会の取り組みをどう評価するかが焦点となっている。
全国14の高裁・支部が今年3~4月に出した17件の判決は、「合憲」が4件、「違憲状態」が12件、「違憲」が1件と判断が分かれた。最高裁は、内閣法制局長官として選挙制度の改正に関わった山本庸幸裁判官を除く14人による大法廷で審理し、統一判断を示す。(河原田慎一)
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!