ここがみどころ
志村貴子の人気作漫画をノイタミナ枠で映像化。監督は『Fate/Zero』のあおきえい。女の子になりたい男の子と、男の子になりたい女の子。身体にまつわる秘密の悩みというセンセーショナルな題材だが、さまざまな人間模様を描く作品の姿勢は非常に真摯だ。成長にともなっておきる心身の変化、不安定で浮ついた心理をピュアな映像で表現しきっている。注目ポイントは、アニメの特性を全方位的に活かした演出。全体をホワイトの余白を活かした水彩画的な質感に染めあげた撮影エフェクト、心象を反映した風景や小道具の配置、内面の繊細さが際だつようなセリフの応酬と演技、自然音主体でありながら印象に残る音響など、感覚に訴える要素を総動員して見えない心の機微を浮き彫りにする。誰もが通る成長期の心理を実感できる清涼感にあふれた作品だ【アニメ評論家 氷川竜介】