なんだか無理解も多いようなので、うちのサイトでも拡散しておきます。
「ひとり親を救え!プロジェクト」に賛同しました。
日本には困窮者支援の文脈で、ちょっと首をかしげるような制度が多数残されています。
その一つが「ひとり親が子育てをする際、2人目以降はひとりにつき手当が月5000円しか出ない」という問題。
このように苦しいひとり親家庭の生活を安定させるために児童扶養手当があります。児童扶養手当は、扶養している1人目の子どもには、所得の制限はありますが、最高月額42,000円が出ます。しかし、2人目には、どんなに所得が少なくても月額5000円、さらに3人目以降は、月額3,000円しか出ません。
月5000円、3000円では、子ども1人の1ヶ月の食費にすら到底足りません。例えば3人目以降は、1日約100円にしかなりません。中学や高校生の食べ盛りの子どもに、1日100円で何を食べさせればいいのでしょう?
有名な話で、日本はひとり親に対する支援が絶望的に欠如しており、「悲惨」といって過言ではない状況が続いてます。
「生活保護受ければいいんじゃない?」という感じもしますが、話はそうシンプルではありません。「水際作戦」を代表とする受給に至るまでのハードル、子どもが無申告でアルバイトをすると不正受給になる問題、そして何より、本人が「福祉のお世話になりたくない」と制度利用を忌避する問題があります。
もちろん生活保護基準以下の生活の場合、生保を受給できます。一方、ハードルは非常に高いのであまり多くなく、受給率はひとり親の1割程度に留まります。
https://t.co/reuOKXU6T4 https://t.co/aDyL7fZ5yi
— 駒崎弘樹:Hiroki Komazaki (@Hiroki_Komazaki) 2015, 10月 25
うちで支援しているひとり親世帯の中には、当然生活保護基準以下の生活をしている方々もいて、ヒアリングさせてもらったことがある。生保を勧めたら「そういうんじゃないんです。もっと頑張れますから」って仰ってました。僕は「いや、貴女は十分すぎる程、頑張っている」という言葉を飲み込みました。
— 駒崎弘樹:Hiroki Komazaki (@Hiroki_Komazaki) 2015, 10月 25
生活保護受給の問題はさて置いたとしても、「こどもひとり月5,000円」というのはちょっと意味不明ですよね。おかしい制度なんだから、変えていかなきゃいけません。ましてや今は、少子高齢化社会なのですから。
というわけで、キャンペーンに賛同しておきました。change.orgでみなさまも賛同をどうぞ。
「無責任に結婚して離婚する大人が増えたらどうするんだ」批判について。
さて、ここからはぼくの意見です。
こういう話をすると高齢者の人々から「ひとり親支援を充実させたら、気軽に離婚するような親が増えるじゃないか。無責任だ!」みたいな批判が来ることがあります。嘘みたいだけどホントの話。
これは明確に間違っていて、現状のひとり親支援は明らかに低質であり、こどものためになっていません。ここは問答無用で同意してもらえる部分かと。統計データが明らかに示していることですからね。
思想的なところでは、ぼくはむしろ「気軽に離婚できる社会」の方が理想的だと考えています。
というのも、「夫婦仲が最悪だから本当は離婚したいけど、離婚すると生活できないので、ギスギスしながら生活を続ける」というありがちな状況は、ひとり親支援が充実すれば防げるからです。
こういう「ありがちな状況」は、一歩間違えるとDVにつながり、こどもにとっても悪影響を与えます。数年にわらって親が怒鳴りあいの夫婦喧嘩をしており、改善の見込みもないようなら、さっさと別居、ないしは離婚した方がいいと思いますよ。経済的にはなんとかなったとしても、こどもが精神的にダメージを受けますから。
言わずもがな、「気軽に離婚できる社会(離婚しても経済的に困らない社会)」だからといって、誰もが気軽に離婚するわけではありません。うちも別に離婚するつもりは毛頭ありませんし。妻大好きですし、妻がいないとほんとうに野垂れ死にます。
「離婚って最高!また結婚して、すぐ離婚しよう!」みたいな人はおそらくいないわけで、離婚しやすい社会になったとしても、それは「ひどい状況から逃げやすくなる」という程度の意味合いにしかならないでしょう。
日本の家族をめぐる問題を見ていると、ブラック企業問題と一緒で「流動性が低すぎるから、選択に失敗した人たち、単に運が悪かった人たちが、理不尽な困難においやられる」という側面があると思うわけですよ。DVにせよ、児童虐待にせよ、ニート・ひきこもり問題にせよ。
「あぁ、これはもうきついから、実際逃げられるし、逃げよう」と思えるタイミングが増えれば、悲惨な事件も減っていくと考えています。いい加減「我慢するのは、美徳じゃない」ことを常識にすべきです。もっともっと、ひとり親は生きやすくなるべきなのです。ぼくらには、その責任があります。
議論の補助線になると思うので、駒崎さんのツイートも貼り付けておきます。根深いですね。
ちなみに、常見氏の専門の雇用問題に引きつけて語ると、ひとり親の貧困の大きな要因の一つに「女性の賃金が構造的に低い」ことが背景にある。男性に比べ、およそ半分。同じことをしていても、女性がゆえに賃金が低くなる、という構造的差別。 pic.twitter.com/BIiM6m7DgQ
— 駒崎弘樹:Hiroki Komazaki (@Hiroki_Komazaki) 2015, 10月 25
非正規雇用が多く、女性の賃金が低く留められていることで、離婚後の単独家計だと不十分になり、それに子育て費用も上乗せされるので、貧困に陥る。本来なら、(主に夫からの)養育費と公的給付によってフォローされるが、養育費の支払い率がたった2割、公的給付は超脆弱というコンボで詰む。
— 駒崎弘樹:Hiroki Komazaki (@Hiroki_Komazaki) 2015, 10月 25
ひとり親の貧困問題の背景に、女性の賃金を構造的に低く留め続けているという経済的差別がある。だとすれば、これは「ひとり親だけの問題」ではない。全ての女性に関わる問題だ。そして、そういう社会を創り、そこに住む全ての国民の問題だ。そうではないでしょうか?
— 駒崎弘樹:Hiroki Komazaki (@Hiroki_Komazaki) 2015, 10月 25
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