現在、出版業界は未曽有の大不況らしいが、その原因のひとつに図書館で起きているこが関係しているそうな。
新刊を貸出す
とある書籍で得た知識だが、現在、図書館では発売したばかりの本(新刊)を、あまり間を開けずに貸出しするそうだ。しかもそれは僅かな数ではなく、相当量という。市場のことを考えれば、これで問題になることは容易に想像できるだろう。
出版社や作者が煽りを受けるということだ。
せっかく出した本、しかもベストセラーで利益が出そうな本を、半年もしないうちに官が無料で貸し出ししてしまう。これでは出版した会社も筆者もたまったものではない。理不尽にもほどがある。
ゲーム業界で例えてみる
長い月日をかけて、ゲームを制作する。待望のリリース日を迎え、販売のペースは順調だ。しかし、ここで行政が運営する「ゲーム館」にて、3か月後には無料でそのゲームの貸し出しが行われる。無料で借りれるゲームにお金を支払う人がどれほどいるだろうか。制作側は利益を出せずに終わり、次第に経営状況が傾いて倒産の憂き目に遭う。
本だってこれと同義ではないか。ゲームは娯楽だし別だろうとおっしゃるなら、そうは思えない。本だって娯楽であり、出版は慈善事業ではなく、立派な商売なのだから。
貧しい人のため?
「税金を納めている、本を買えない人はどうすればいいのか」という主張もあろうが、これはお門違い。何も新刊を読むことだけが図書館の役目ではない。過去の不朽の名作など、数多くの蔵書も貸し出しているわけだし、それらを存分に読めば良いだろう。貧しい人が新刊を読むために、出版社や著者が損をする必要はまったくない。
官が民を圧迫し続ける異常事態
ここまで露骨に圧迫している現状に驚いた。こんなことがまかり通っているのが今の日本らしい。商業利益を優先して住民に還元するなとは言わないが、最低限、出版業界や著者が不当な圧迫を受けない配慮は必要なのではないか。こんなことが続けば、本の文化をどんどん衰退させてしまう。図書館がこのようなことを行っているのだから、本末転倒と言わざるをえない。
私は本を買う
こういう事実を知ると、改めて思わされるのは「読みたい本を購入することの大切さ」である。以前に「お金がないから本は図書館で借りる」と言い放ったが、今思えば大変恥ずかしい。書物から多大な知識を得た対価として、出版社・著者への感謝の気持ちの表れとして代金を支払い、それをもって本や出版文化の醸成に寄与できる。これほど素晴らしいことはなかったのである。
一刻も早く、この「新刊を無料で貸し出す」という官の暴挙がなくなることを願う。例えば貸し出すにしても、1年や2年の間を空けるだとかさ。そういった仕組みを作ることはそんなに難しいことじゃないと思うのだが...