●守銭奴がきっかけになった内部留保問題
まず、今年の1月に、麻生副総理・財務相が内部留保をため込む企業を「守銭奴」と批判しました。「個別企業について申し上げたのではない」としながらも「デフレ不況と闘っている中で、好ましいとは思わない。そのことを説明する趣旨だった」としています。
10月にはいり、経団連の榊原定征会長は「業績拡大に伴い内部留保は増大している。政府から言われるまでもなく設備投資の重要性は認識している」と述べ、経済界としても対話に応じる姿勢を示すなど、企業が内部留保を溜め込む姿勢を問題視しています。
ところが経済界の動きは芳しいものではありません。設備投資に関しては業界が限定されることや、過当競争に陥っている企業は設備投資どころではありません。一部をのぞいて内部留保が設備投資にはまわることはありません。配当、給与のベースアップ、消費者への還元がなされない場合は減ることもありません。法人税減税の規模によっては内部留保は増える可能性が高くなります。
●内部留保問題の急先鋒は共産党
これまで、内部留保の問題に関して最も精力的だったのは共産党です。少なくとも、ここ数年の各党の主張を検証して、リーマンショック以降、内部留保を問題視しているのは同党以外にはありません。
共産党は次のように公表しています。「リーマンショック前の10年で雇用者報酬を減らしたのはG7の中で日本だけです。他方で日本の大企業は内部留保を142兆円から229兆円へと大幅に膨らませました。根本にあるのは国民が生んだ富を大企業が「独り占め」するシステムです(2010年2月9日しんぶん赤旗)。
この問題が注目された背景には、麻生副総理・財務相の「守銭奴」発言が端を発しています。当面の設備投資で資金を必要としないなら、配当、給与のベースアップ、消費者への還元に廻すべきという、麻生発言に共感した方は多かったのです。アベノミクスは大企業優遇ともいわれましたが、本格的議論にはいるのであればかつてない英断だと思われます。
国政レベルでの自民と共産の共闘はハードルが高いですが、最近のケースでは「大阪都構想」に反対する自民党大阪府連の国会議員が、民主、共産両党と合同街頭演説をおこなったことがあります。その流れに呼応して自民党の谷垣幹事長、石破地方創生担当相は理解を示しました。双方とも内部留保に関する見解は近いので、この機会に議連などで議論を深めてもらいたいものです。
尾藤克之
経営コンサルタント