2015年10月27日

◆ 強歩大会で女子生徒が死亡

 埼玉県の強歩大会で女子生徒が死亡した。これは人災(殺人みたいなもの)と言える。

 ──

 記事を引用しよう。
 《 「強歩」大会で女子生徒死亡 埼玉県立大宮高 小雨で決行、ゴール前で心肺停止 》
 さいたま市大宮区の埼玉県立大宮高で16日、体力向上や精神力を養うため毎年実施している「強歩大会」に参加した2年生の女子生徒がゴール手前で倒れ、その後死亡していたことが26日、同校などへの取材で分かった。県警によると死因は病死。大会は雨天中止の予定を小雨で決行しており、同校の担当者は「因果関係はまだ不明だが、大会を中止していれば防げたかもしれない」としている。
( → 産経ニュース 2015-10-27

 最後に「防げたかもしれない」と述べているが、これは、そういう問題ではない。「たまたま事故が起こった」のではなく、「学校側が意図的に殺した」と見なせる。
 これはどういうことかというと、たとえ殺人の意図がないとしても、過酷なスパルタ運動をさせれば、人は死ぬことがある、ということだ。
 たとえば、やたらと無理な部活をすれば、人が死ぬことはある。それと同様だ。
 ちなみに、部活では、次の例がある。
  → 子どもに理不尽強いる「ブラック部活」の実情
 一部抜粋しよう。
 連休に合宿があった。出発前日、息子は高熱で寝込んでいたが、「監督から来るように言われた」とフラフラになりながら家を出ようとする。聞けば監督から、「俺は熱を出しても練習を休んだことはない」と言われたという。
 今年、神奈川・桐蔭学園高校の柔道部員(16)が、熱中症で搬送された2日後に死亡した。
 内田さんが、1994〜2013年度の中高の主要な部活(04年度時点で部員が3万人以上)における熱中症の死亡率を調べたところ、柔道は100万人中4人と最も高かった。

 実際に部活で死ぬ(殺される)生徒はたくさんいるわけだ。そして、それと同様のことが、今回も起こったと言える。

 ではなぜ、「殺された」と結論できるか? それは、この「強歩大会」の詳細を知ればわかる。下記文書を見るといい。
  → 大宮高校の強歩大会心肺停止事故がツイッターで発覚!
 ここには、次のような話がある。
雨で寒い中ジャージ着用を禁止していたらしいです。
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走っているときは半袖短パンですが、それ以外は決してジャージ着用禁止ではありません。
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寒暖差の激しい今日においてそれも小雨の降る中で半ば”強行”する形で強歩大会を決行した学校側ですが、競技中の体温低下や調節への配慮は考慮されていたのでしょうか?
 ──
子供から聞いた話によると、そもそも強歩大会は全て外で行うので、雨の中傘をさしながら外で短パン体操服に着替え(女子生徒も含む)、ずぶ濡れになって走った後、また外で制服に着替えて寒さに震えながら帰ったそうだ。
 ──
走っている生徒には、唇が紫色になっている子供が他にも沢山いて、低体温症で他に犠牲者が出ていても不思議ではなかったと思われる。

 ここまで見れば、明らかだろう。雨の中で、唇が紫色になっている生徒がたくさん出るという状況で、低体温症になる被害者が明らかに多数発生しているのに、競技を強行した。しかも、半袖短パンが強要され、ウインドーブレーカーなどの着用も許されなかった。もちろんジャージーも駄目。(走っていないときにはジャージーOKだが、走っているときはジャージー不可。)

 実を言うと、ここ数日、とても気温が冷えた。その1日目に、私は半袖でジョギングをしたが、あまりにも気温が低くて、低体温症になりそうになった。ぶるぶる震えるだけでなく、全身の体温が冷えて、死にかける感じ。そこで途中で、着衣を増した。
 私の場合は、まだ良かった。雨が降っているわけでもないし、冷えていたのは 10分間ぐらいだけだ。
 しかし今回の場合は、小雨のさなかだし、しかも時間は1時間15分だ。こんなにも長く低体温の状態が続いた。しかも、天候は、ただの小雨ではない。
 大会は雨天中止の予定だったが小雨で決行され、終盤には雨脚が強かった。
( → 日テレ・ニュース

 こういう状況であれば、大会を中止するべきだった。また、どうしても雨天強行するのであれば、「雨天強行します」と記した上で、「雨天の場合にはウインドーブレーカーをご用意ください」と記すべきだった。
 なのに、「雨天中止」と記しながら、ウインドーブレーカーを禁止し、半袖短パンを強要し、雨天のさなかで無理に走らせて低体温症にする。……これはもう、殺人(未必の故意)に等しい。

 ──

 ちなみに、低体温症がやばいという話は、前にも書いたことがある。
 箱根駅伝で駒大の最終走者がふらふらになってゴールに倒れ込んだ。これは死者が出かねない問題だった。
( → 箱根駅伝で死者?

 ここでは、「駅伝で低体温症の人がいたが、これは死者が出かねない状況だった」という趣旨で述べている。そして、今回まさしく、「死者が出た」という結果になったわけだ。まるで私の予測があったような感じで。

 この記事では、「低体温症を防ぐにはウインドブレーカーを」と述べている。同じことを、本項でも述べた。
 そして、こういう正しい対策をしない限りは、死者が出ても当然なのだ。
 人々は低体温症の危険性を、まったく理解できていない。このままだと、今後も次々と死者が出ることになるだろう。それも、たいていは、青春期の若者が。

 
posted by 管理人 at 22:53 | Comment(2) | 一般(雑学)3 このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
ヤフコメ見たけど、大会運営に問題無いとか、
本人の問題とかアホなことばかり言ってる奴
ばかりですね。
Posted by 進撃のソフトバンク at 2015年10月27日 23:20
やり過ぎだとは思いますが
団体行動や組織規律を学ぶ機会はなくさないで欲しい
Posted by 先生 at 2015年10月28日 10:38
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