2015.10.28 11:00(1/2ページ)

【私の失敗(2)】平松政次、投げた砲丸が同級生の頭を直撃

【私の失敗(2)】

平松政次、投げた砲丸が同級生の頭を直撃

特集:
私の失敗
ノンプロの日本石油時代。まだシュートは投げていなかった

ノンプロの日本石油時代。まだシュートは投げていなかった【拡大】

 映画やテレビドラマで、重要なシーンがスローモーションになっていることがありますよね。中学3年生の時に、それを実体験しました。

 野球部の練習の前に、他のクラスの体育の授業をのぞきに行ったんです。砂場に砲丸投げの砲丸が置いてあって、投げてみようと手に取りました。砂場の横には鉄棒があり、同級生が一人で練習していました。体が学年で一番細い体の子でね。まさかとは思いましたが、「気をつけろよ」と声を掛けて、そいつも「うん」と返事をしました。

 いざ投げるとなると、投擲(とうてき)用のサークルから足が出ないように、下の方ばかり気になってね。えいやっ、と投げて前を向くと、鉄棒にぶら下がっていたはずの同級生が砂場に飛び降り、足がぐらついて前のめりになっていたんです。砲丸がその子の頭に向かって飛んでいって当たるまで、本当に時間がゆっくりと過ぎていく感じでした。

 一瞬、「大変なことになったぞ。逃げようか」とも思いましたが、すぐに気を取り直して先生を呼びに行きました。病院での検査結果は、頭蓋骨陥没の重体。それからというもの、お袋は何度も病院へお見舞いに行き、姉は私がショックで自殺するんじゃないかと心配して、私の側に付きっ切りでした。先生や友人が「マー君(平松氏)は当てるつもりなんかなかったのだから気にするな」と励ましてくれてね。仲間のありがたさが身にしみました。

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