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東京・渋谷区:初のパートナー申請…来月5日、証明書交付

毎日新聞 2015年10月28日 10時19分(最終更新 10月28日 12時03分)

「パートナーシップ」証明書の申請を終え、証明書交付引換証を手に取材に答える増原裕子さん(左)と東小雪さんの同性カップル=東京都の渋谷区役所で2015年10月28日午前8時40分、後藤由耶撮影
「パートナーシップ」証明書の申請を終え、証明書交付引換証を手に取材に答える増原裕子さん(左)と東小雪さんの同性カップル=東京都の渋谷区役所で2015年10月28日午前8時40分、後藤由耶撮影

 同性カップルを「結婚に相当する関係」(パートナーシップ)と認め、証明書を発行する制度を創設した東京都渋谷区が28日、証明書の申請受け付けを開始した。同性のカップルがこの日午前、さっそく申請書類を提出した。全国の自治体で初の制度で、同性愛者などの性的少数者(LGBT)を支援する各地の取り組みを後押しすることが期待される。【早川健人】

 区は書類に不備がないか確認したうえで11月5日から証明書を発行する。この日最初に申請したのは、増原裕子(ひろこ)さん(37)と東(ひがし)小雪さん(30)。区議会で性的少数者について議論がなされていることを知り、昨年11月に東京都国立市から引っ越した。

 増原さんは横浜市生まれ。教育系IT会社勤務を経て、2013年12月に性的少数者の情報発信をする企業「トロワ・クルール」(フランス語で「三つの色」)を東さんと設立した。東さんは金沢市生まれ。宝塚歌劇団の男役「あうら真輝」として活躍後、11年春に性的少数者のシンポジウムにゲストとして出席。シンポのスタッフだった増原さんと知り合った。

 2人は13年3月、千葉県浦安市の東京ディズニーリゾートでは初の同性カップルによる結婚式を挙げ、ともにウエディングドレスを着てミッキーマウスと並んだ写真や映像が話題になった。

 同性カップルは法律上の家族でないため、東さんが体調を崩した際、病院で付き添った増原さんが薬を受け取ろうとして「姓が違う」と断られた。不動産屋で同居の部屋を借りようとした時は「大家さんに理解があるかわからないから」と、書類に書いた「妻」を「友人」と書き直すよう求められた。

 書類を出し終えた東さんは「受け入れられている、認められている、と思うとうれしくなった」と笑顔で語った。増原さんらによると性的少数者は日本に7.6%いるとされ、「この行動を通して、知っていただくきっかけになれば」と話した。

 渋谷区は4月に「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を施行。証明書発行では▽2人が区内に居住し、住民登録していること▽配偶者がいないこと▽近親者でないこと−−などを要件として定めた。

 公証人役場で作成した公正証書を区に出すため、増原さんらの場合は約1万8000円の作成費用がかかった。

 一方、世田谷区は条例ではなく「要綱」に基づき11月1日からカップルの「宣誓書」を受け付け、区は受領証と宣誓書の写しを同5日午後から交付する。

 両区はこの制度の導入で性的少数者への理解が進み、他の自治体にも広がって差別がなくなる第一歩となることを目指している。

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