企業の会議に参加したとき、それが実り多いものになるかどうかは、開始前にわかります。
もし、机の上に分厚い資料が置かれていたら、私はその時点でモチベーションが半減します。分厚い資料が用意された会議は、それを読み合わせることで終わるか、その資料はまったく役に立たないかのどちらかだからです。
資料を読み合わせるような場合、会議の前にすでに会議は済んでいます。それはただの報告会であって、チームで意見を述べ合ってアイデアを醸成するような機会はありません。正直なところ、わざわざ集う必要もないのです。
さらに問題なのが、役に立たない分厚い資料が用意されている会議です。どうして問題かといったら、そんな資料をつくっている人たちが出席しているからです。
「こんなものを読ませるな!」
私が放送作家になったばかりの頃、まだパワーポイントは普及していませんでした。だから、会議の資料と言えば、文字が並ぶか手書きの図をコピーしたようなアナログなものがほとんどでした。
長々と文字を連ねたら「こんなものを読ませるな!」と叱られるから、自ずと要点だけを示すクセがつきました。また、下手な手書きの図を見せるのも恥ずかしいから、資料に載せるのは最小限に抑えるようになりました。
会議では、その場でどれだけチームのアイデア醸成に貢献できるかが問われているのであり、わざわざメンバーに目を通す時間を取らせる資料など少なければ少ないほどいいというのが、現場のスタンスでした。
私は、いまでもそれは正しいと思っています。
ところが、パワーポイントの普及に伴って、勘違い人間が増えているのです。
上司から会議の準備を命じられて、あなたはまず何をするでしょうか。パワーポイントでわかりやすい資料をつくろうとするなら、今後「会議に呼ばれる人」でいるのは難しいかもしれません。