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 米軍が、南シナ海で中国が埋め立てた人工島の12カイリ内に入る作戦に踏み切った。領有権をめぐる中国の「度を越した主張」を戒め、航行の自由を守ることを行動で示す狙いがある。中国は「主権と安全を損なうもので断固反対」と対抗措置も辞さない構えを見せている。中国側の出方次第では、米中の緊張がさらに高まりかねない事態だ。

 「(領有権などで)度を越した主張があれば、いつでもそれに挑む」。米国防総省のデービス報道部長は26日、同省で記者団に対して、「航行の自由作戦」についてこう強調した。中国が埋め立てた人工島をめぐる主張が度を越しているかと問われると、「そうだ」と断じた。

 米海軍のイージス駆逐艦ラッセンが中国の人工島の12カイリ内に入ったのは、それから半日後のことだった。

 米国は、中国が南シナ海などで国際的なルールを一方的に変えようとしていると警戒する。今回米軍が接近したスビ礁は、満潮時に岩が海面に沈む「暗礁」と呼ばれるものだ。島ではないため、埋め立てても国際法上は領有権を主張できない。にもかかわらず、中国は他国の船や飛行機が近づくのを拒んできた。

 オバマ米大統領は9月24日夜、公式の首脳会談前日に中国の習近平(シーチンピン)国家主席を私的な夕食会に招き、南シナ海問題を持ち出した。しかし、習氏は「南シナ海の島は昔から中国の領土だ」と取り合わず、決裂。言葉だけでは中国の態度を変えるのは難しいと判断したオバマ氏は、米軍派遣を決断したとされる。