文部科学省は27日、2014年度のいじめについての調査結果を発表した。小中高校などで把握されたのは18万8057件。今回は岩手のいじめ自殺問題を受け、締め切った後に、文科省が再調査を求めていた。その結果、約3万件増え、前年度を約2千件上回った。小学校は12万2721件で過去最多だった。

 全国の国公私立の小中高校、特別支援学校が対象の「問題行動調査」。岩手県矢巾町では、今年7月に自殺した中学生がアンケートでいじめを訴えたのに、学校は認知しなかった。このため文科省は、調査のやり直しを求めた。再調査前に比べ、福島県で4・3倍、福岡県で2・7倍、岩手県で2・1倍など各地で大きく認知件数が増えた。

 児童・生徒千人当たりの件数は、都道府県によって大きな差が出た。最多は京都府の85・4件(全体で2万3973件)で、宮城県の69・9件(同1万7614件)、宮崎県の66・0件(同8637件)が続いた。最少は佐賀県の2・8件(同283件)、次いで埼玉県の4・0件(3098件)。京都府は佐賀県の30・5倍だった。最大83・2倍だった前年度より縮まったが、依然として課題があるという。調査やり直し前は90・8倍に上った。文科省によると、地域差は、軽微なからかいやトラブルをいじめに含めるか線引きに違いがあったり、解消済みのものを計上しなくていいといった誤解があったりするためという。

 小学校での認知件数が増えた一方、中学校は2279件減った。文科省は小学校低学年を中心に教員らの意識が高まって把握が進んだとみている。

 全体の42・4%の学校がいじめがなかったと回答したことについては、「全ての学校にいじめがあると考えている」(担当者)と問題視する。パソコンや携帯電話を介したいじめは7898件と前年度を890件下回ったが、教員らに隠れてやりとりがしやすく、潜在化している可能性があるという。(高浜行人)