追加緩和へ期待高まらず、日銀会合控え政府内-円安進行に懸念も
2015/10/27 19:20 JST
(ブルームバーグ):日本銀行の金融政策決定会合が30日に迫る中、官邸や財務省から追加緩和発動への期待は聞こえてこない。複数の政府関係者によると、来夏に参院選を控え、追加緩和による円安進行で物価が上昇すれば高齢者世帯への打撃になるとの懸念が出ているという。
安倍晋三首相は9月24日、「もはやデフレではない。デフレ脱却はもう目の前です」と述べ、成長の果実を子育て支援や社会保障に投資する「新3本の矢」を発表した。
政府は10月の月例経済報告で生産・輸出が「弱含み」だとして景気判断を1年ぶりに景気の基調判断を引き下げた。しかし、4-9月の法人企業企業統計で経常利益が過去最高を記録したほか、雇用統計なども堅調だった。
ブルームバーグが21日から26日にかけてエコノミスト36人を対象に行った調査によると、16人(44.4%)が30日の日銀会合での追加緩和を予想した。同時に公表する2017年度までの成長率と生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)の見通しは下方修正は必至で、「16年度前半ごろ」としていた2%達成時期も先送りする公算が大きい。半面、足元でエネルギーを除く物価の上昇が進んでいることに加え、政治的な圧力も高まっていないことから、日銀が追加緩和に踏み切るか市場の見方も分かれている。
政治的サポートBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストはブルームバーグの調査で「大幅円安でも輸出数量が増えない一方、円安による家計の実質購買力の悪化で個人消費が抑制されるなど、円安の弊害が目立ち始めている。来夏に参院選挙を控え、家計を犠牲にする追加緩和への政治的サポートは得難いとみられる」とみている。
日銀は今すぐさらに金融緩和というのではない--。麻生太郎財務相は17日のNHKのインタビューでこう発言した。23日の閣議後会見では「物価上昇を金融でやれる範囲は限られている。世の中にはお金ではなく、需要がない」と指摘。「黒田東彦日銀総裁は企業の内部留保が賞与や給与に回ることで消費が増えることを期待する部分がおありになると思う」と述べている。
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更新日時: 2015/10/27 19:20 JST