安倍首相の肝いりで始まった、携帯料金引き下げに関する有識者会議で、大手キャリア幹部が端末の安売り見直しの姿勢を示しました。一方で料金プラン見直しの方向性は不透明で、今後、ユーザーの利益につながる議論が進むのか、注目が集まります。
携帯料金引下げの有識者会議で大手キャリア「端末安売りは見直す」
安倍首相の指示で総務省に設置された有識者会議は、10月19日の初回に続き、26日に第2回会合が開催され、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手キャリア3社の幹部が呼ばれました。
会議の目的として掲げられた3つのテーマの1つ、「端末と通信の料金を分離し、複雑な販売方法を見直す」に関連して、MNPでキャリアを乗り換える客に、高額のキャッシュバックを提供したり、本来は高額な端末を「実質0円」で提供する安売りについて「行き過ぎた割引があった」として、3社が揃って見直しの姿勢を示した、と朝日新聞などが報じました。
2007年に総務省主導で「端末1円」などの安売りが見直されたものの、数年後に似た状況に戻ったことについて、同様のことが繰り返されるのではないか、との指摘もあった模様です。
一方、大手3社からは複雑と批判の多い料金プラン見直しについては踏み込んだ発言がなかった、とも伝えられています。
ドコモのiPhone販売参入で変わった潮目、札束飛び交う乱戦へ
最近、携帯電話業界の競争環境が大きく変わったのは、国内キャリア最大手のドコモが、最後発でiPhoneの販売に乗り出した2013年9月が大きなきっかけでした。
従来から携帯電話業界が激戦となる年度末の2014年3月には、当時の最新端末iPhone5sの「実質0円」販売や、「家族4人でMNPなら51万円のキャッシュバック」など、札束が飛び交うような状況になりました。
その後、キャッシュバック合戦は収束に向かいます。大手キャリアとしては「他がやるならウチもやる」と販売促進費を体力勝負で注ぎ込むチキンレースが落ち着いて安堵したことでしょう。
MNPで短期間にキャリアを乗り換えるユーザーが手にするキャッシュバックの原資は、長期契約しているユーザーが毎月支払う料金であり、キャリアショップ等での契約時に半強制的に加入させられて解約を忘れられた有料オプション、という構造は、決して健全な状況ではありません。
スマホユーザー最大の不満「料金プランのわかりにくさ」は解消に向かうか
MMD研究所による最近の調査では、スマートフォン購入者最大の不満は「料金プランが分かりにくいこと」、との結果があります。誰にでもわかりやすい料金体系が定着することで、誰もが安心してスマートフォンを使えるようになって欲しいものです。
有識者会議の初回会合については、業界ジャーナリストから「結論が見えている議論」と手厳しい批判もありましたが、今後の議論では、一般的なユーザーの利益になるよう、有益な議論が進められることを期待しつつ、今後の議論を見守りましょう。
Source:朝日新聞
(hato)