南京の博物館長ら視察、宮崎市の「平和の塔」 「古い石返せ」と横断幕 [宮崎県]
日中戦争下の1940(昭和15)年に国内外から集めた石を土台に建てられた平和の塔(宮崎市)をめぐり、土台の石3個の返還を求めて来日した中国・南京市の民間博物館関係者が26日、塔を視察した。中心メンバーの呉先斌(せんひん)・南京民間抗日戦争博物館長(51)などが訪れ、あらためて返還を訴えた。
一行は、塔の歴史を検証する市民団体「『八紘一宇(はっこういちう)』の塔を考える会」の案内で、塔の高さや建造時期、塔の四隅にある武人像などの説明を受けた。その後、土台に組み込まれた南京産とみられる石のうち、中国の想像上の霊獣「麒麟(きりん)」が彫られ、「南京日本居留民会」と刻印された石▽「南京紫金山麓」と彫られた石▽孫文の陵墓である「南京中山陵」の刻印がある石-の3個を見て回った。
呉館長らは、麒麟の石の前で「芸術の意味で、これが一番価値があるのでは」と感想を述べ、「わが南京の古い石を返せ」と中国語で書かれた横断幕を広げてアピールした。27日は宮崎県庁を訪れ、文書で返還を求める予定。
=2015/10/27付 西日本新聞朝刊=