<宮城県議選>反安保 共産が躍進
「宮城秋の陣」でも共産旋風が吹き荒れた。25日投開票の宮城県議選は8月の仙台市議選に続き、安全保障関連法の廃止を前面に出した共産党が2011年の前回を大幅に上回る議席を得て躍進した。自民党は守勢を強いられ、落選の憂き目に遭う現職も出た。
わずか31票差に泣いた4年前の涙を、当選に輝く満面の笑みに変えた。
4人が定数3を争った若林選挙区は、福島一恵さん(54)が共産として選挙区初の議席を獲得した。福島さんは「安倍暴走政治を止めたいという民意の表れだ」と勝利を宣言し、事務所で喜びを爆発させた。
仙台市議5期を経て、東日本大震災後の前回県議選(2011年)に臨んだが惜敗した。復興の力になりたいと落選をばねに沿岸部を奔走し、地道に支持を広げた。福島さんは「村井県政は中央ばかりを見ており、地元に冷たい。被災者そっちのけの県政を変える」と決意をみなぎらせた。
宮城野選挙区(定数4)では、共産新人の大内真理さん(37)が党悲願の初議席をつかんだ。テレビが当確の速報を伝えると、事務所には抱き合う支持者らの歓声が響き渡った。
6歳になる長男の母親として子育て真っ最中。安保法に不安を募らせる県民の声に耳を傾けながら、脱原発を訴えるデモに毎週参加するなどし、市民運動家としてマイクを握り続けた。
大内さんはガッツポーズを何度も決め、「子どもたちが未来に希望を持てる県政をつくる」と誓った。
大崎選挙区(4)も新人内藤隆司さん(57)が初当選を飾った。県議選は3度目の挑戦。安保法反対、環太平洋連携協定(TPP)反対などの訴えに元宮城県鹿島台町長、元県農協中央会長らが共鳴するなど、支援の渦は急速に拡大した。
内藤さんは「党派を超えて力が結集した。安倍政権への怒りが当選へと押し上げてくれた」と追い風の手応えをかみしめた。
共産が大躍進に沸く中、自民の候補者は軒並み苦戦を強いられた。石巻・牡鹿(5)では、党県連総務会長の現職池田憲彦さん(62)が落選。石巻市の事務所で「精いっぱい戦ったが駄目だった。申し訳ない」と支持者に頭を下げた。
政権与党や村井嘉浩知事とのパイプを強調し、「復興予算を持ってこられるのは自分しかいない」と訴えたが、浸透しなかった。池田さんは「私の力不足」と語り、肩を落とした。
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宮城県議選は25日、投票が行われ、即日開票の結果、無投票当選の11人を含む新県議59人が決まった。自民は27人で、前回(2011年)から1減らしたものの、最大勢力を維持する。村井嘉浩知事の県政与党を掲げる公明と合わせて過半数を確保した。共産は議席を倍増させた。
自民以外の政党別内訳は民主が5人。維新1人、公明4人、共産8人、社民1人が決まった。無所属は13人。
投票率は40.03%で、過去最低だった前回の41.69%を下回った。
2015年10月26日月曜日