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上山の名刀、所有権めぐり民事訴訟 蟹仙洞から盗難、大阪に

2015年10月27日 11:06
1991年に上山市の蟹仙洞から盗まれた国指定重要文化財の太刀「来国次」(出典:「山形県の文化財」)
1991年に上山市の蟹仙洞から盗まれた国指定重要文化財の太刀「来国次」(出典:「山形県の文化財」)
 上山市の美術博物館「蟹仙洞(かいせんどう)」から1991年に盗まれ、所在が分からなくなっていた国指定重要文化財とされる日本刀3振りが、大阪府内で見つかっていたことが26日、関係者への取材で分かった。府内の刀剣研究家が代表取締役を務める企業が古美術商から購入したという。この研究家は、鶴岡市の旧庄内藩酒井家から約30年前に盗まれ、同じく行方が分からなくなっていた重文の日本刀を所有している人物でもある。再び「至宝」の所在が明らかになったものの、今回は所有権をめぐって蟹仙洞とこの企業の間で民事訴訟となっている。

 蟹仙洞が盗難に遭った3振りはいずれも太刀。鎌倉末期の「来国次(らいくにつぐ)」と、いずれも南北朝時代の「備前国長船住長義(びぜんのくにおさふねのじゅうながよし)」「備前国長船兼光(びぜんのくにおさふねかねみつ) 延文元年十二月 日」。

 91年6月、同館からこの3振りのほか、県の文化財の太刀など刀剣計12振りが盗まれた。この盗難事件をめぐっては、岐阜県の記念品販売業者らが摘発され、窃盗罪で実刑判決を受けている。

 訴状や蟹仙洞の代表理事によると、昨年10月1日、刀剣を入手し、その登録証をファクスすると研究家から電話があった。その後、研究家側に返還を求めたが応じなかったため、今年5月、山形地裁に提訴した。すでに第1回口頭弁論が開かれており、被告側は請求棄却を求め、争う姿勢を見せている。

 酒井家から86(昭和61)年に盗まれ、現在、この企業が所有している日本刀は「備州長船住元重(びしゅうおさふねのじゅうもとしげ)」。研究家の協力により、致道博物館で9月に開催された展示会で公開され、約30年ぶりの里帰りが話題となった。

 被告側は答弁書で、研究家は一般財団法人「日本刀剣博物技術研究財団」を設立し、日本刀の保護・保存のための技術開発、盗難刀剣の回収への協力、無償貸し出しなどを行っていると主張。被告の代理人弁護士は「不当な請求。(所有が)法的には被告側にあることは明らかだ」としている。

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