[PR]

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐり、政府は27日の閣議で、地方自治法に基づき、沖縄県が出した取り消し処分を是正するため、名護市辺野古の埋め立て承認をめぐる代執行手続きに着手することを口頭で了解した。

 菅義偉官房長官は閣議後の会見で「政府の一致した方針として沖縄県知事に対し、(埋め立て承認)取り消し処分を是正する勧告をするとともに、応じない場合は裁判所で司法の判断を仰ぐことができるようにするため、国土交通大臣において地方自治法に基づく代執行の手続きに着手することとした」と語った。

 菅氏は代執行手続きに着手する理由について、「(翁長雄志(たけし)知事の)取り消し処分により普天間飛行場の危険性除去が困難となり、外交防衛上重大な損害を生ずるなど、著しく公益を害するとの結論に至った」と述べた。

 一方、石井啓一国土交通相は27日の閣議後会見で、翁長知事による処分は違法だとして取り消すよう勧告する文書を28日にも郵送すると表明した。石井氏の勧告は地方自治法に基づくもので、翁長氏に対して取り消し処分の撤回を求め、前知事による辺野古の埋め立て承認を認めるよう迫るものだ。翁長氏が応じない場合、高等裁判所に裁判を起こすこともできる。

■知事の処分は効力停止

 石井氏はさらに、翁長知事による埋め立て承認取り消し処分の効力を止めたことも発表。効力を停止した理由について「取り消しにより移設事業が継続できず、普天間飛行場周辺住民が被る危険性が継続するなど重大な損害が生じるため、緊急の必要性がある」と説明した。

 取り消し処分の執行停止により、現在停止中のボーリング調査などが再開できる。政府は11月中にも埋め立ての本体工事に着手する構えだ。ただ、沖縄県と防衛省の対立を防衛省と同じ政府の一員である国交相が裁く構図には批判もある。(鈴木拓也、峯俊一平)