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 地元同意の手続きが終わった四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は、東西約50キロの佐田岬半島の付け根近くにある。再稼働が近づくなか、重大事故が起きれば陸路の避難が難しくなる半島の住民は不安を募らせる。海路で避難する大分県では、受け入れの不備を指摘する声が上がる。

 「原発事故を考えると、あきらめというか、自分たちではどうすることもできないのが現実だと思っている」。佐田岬半島を貫く国道197号。「横風注意」の標識を見ながら車で走ると原発の西側にある海沿いの集落に着く。そこに住む40代の女性はそう嘆く。

 港に通じる道路は急な山の斜面に沿う県道のみ。避難が必要となる過酷事故が原発で発生し、地震や津波があれば、道路が寸断されるかも知れない。国道が使えない場合、海路で避難することになる。避難の課題が残る中での再稼働同意に「町や県、国が、私たちの置かれた状況を理解しているとは思えない」

 伊方町から海路で最大5千人の避難者を受け入れることで愛媛県と合意している大分県では、困惑の声も上がる。

■整わぬ受け入れ態勢

 伊方町と大分市佐賀関を運航する「国道九四フェリー」(大分市)は、避難者の輸送を愛媛・大分両県から求められている。芦田幸人総務部長は「津波で船や港が被災し、船が使えない場合もあるのでは」と心配する。両県とは協力内容の詳細を協議中で、まだ協定を結んでいないという。「公共交通機関の使命は果たしたいが、具体的には何も決まっていない」