【ワシントン=共同】米航空宇宙局(NASA)は26日、土星の衛星エンケラドスの表面から噴出する噴煙の中に無人探査機カッシーニを28日に突入させると発表した。
表面が氷で覆われたエンケラドスの噴煙は氷やちりでできていると考えられるが、突入して成分を詳しく調べ、氷の下の環境がどれほど生命活動に適しているかを突き止めるのが目的だ。
エンケラドスの南極は厚さ30~40キロの氷層で覆われている。その下には海があり、氷の割れ目から間欠泉のように氷などを高さ数百キロまで噴き上げている。カッシーニは高度50キロを飛行してその正体に迫る。
エンケラドスの海の底には岩石質の海底があり、地球の海底と同じように高温の熱水が噴き出す「熱水活動」があると考えられている。
記者会見したNASAジェット推進研究所のリンダ・スピルカー博士は「噴煙から有機物が検出されるかもしれないが、組成しか分からないので、ただちに生命の痕跡とは言えない」と話す。だが「観測で熱水活動の規模が推定でき、海がどれほどすみやすいかが分かる」と意気込んだ。
観測データを地上で取得し分析するのには時間がかかり、結果の公表は現時点では未定という。
浅見英一、NASA、ワシントン