【記者手帳】日系の新スポンサー、ファンの心はカネでは買えず

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 今年度の韓国プロ野球(KBO)リーグで4位となったネクセン・ヒーローズ。かつては現代ユニコーンズとして韓国シリーズ優勝4回という実績も残してきた名門の流れを受け継ぐチームだ。2008年に現代グループからの支援が打ち切られた時には、KBOの支援によってしばらくは何とかチームを維持してきたものの、当時は空中分解は避けられないと誰もが予想していた。

 その後、香港に基盤を置くセンテニエル・インベストメントという投資会社が名乗りを上げ、チームをいったん解散した上で、球団名にスポンサー企業の名前を冠するネーミングライツ(命名権)方式で新球団を創設することになった。記者は当時、この知らせに少し耳を疑った。プロスポーツの中では最も金が掛かる野球チームの運営に名乗りを上げたところが、大企業ではなく香港に基盤を置く韓国では名前も知られていない投資会社だったからだ。チームの再建に取り組んだヒーローズのイ・ジャンシク球団社長は当時「韓国の現状に合ったビジネスモデルを新たに築き上げたい」と意欲的に語っていた。ネーミングライツ方式とは企業からスポンサー料を受け取り、その企業名を使用するビジネスだ。

 米国のプロスポーツチームは多くがスタジアムをネーミング・ライツ・ビジネスに活用している。メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツの拠点は「AT&Tパーク」だが、これは米国の大手通信会社に球場の命名権を売却したことでそのように呼ばれている。ただしヒーローズは当時、米国のやり方とは異なり企業名を球団名そのものとする戦略を採用した。米国でスポーツマーケティングを専門とする大学教授も「韓国に適した新しいプロチームの生存戦略になるかもしれない」と大きく賞賛するほど奇抜なアイデアだった。

スポーツ部=姜鎬哲(カン・ホチョル)記者
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