鬱病克服体験記の続き
嫁に付き添われ近くの病院へ
初めての心療内科受診の為、どこの病院に行って良いか分からなかったオレと嫁は看板に心療内科と書かれていた近くの病院に行ってみたんだ。
ガランとした待合室を抜け受付に
初診なんですが・・・
と、告げると一枚の紙を渡されボソボソとした聞き取りずらい声で
・・記入お願いします。
と言われ、窓際に設置された机に座り書き込みを始めた。
各項目に症状などを細かく記入し、受付に提出すると
・・お呼びするまでしばらくお待ちください
との事。
角の破れた茶色い長椅子に嫁と二人で不安を分け合うように寄り添い腰かけた。
オレさん、どうぞ
年配の看護師がベージュのカーテンを開けながらオレを呼んだ。
嫁に待っててと言い残し、診察室に入ると
どうしました?
と、先ほど記入した問診票を見ながら眼鏡をかけた横分け頭の医者が、オレに座る様に促した。
眠れないんです。
を皮切りに辛かった体調や心の内を淡々と聞いて貰った。
しばらく他人と話してなかったオレの言動はたどたどしく、言葉を発する事ですら相当のエネルギーを要した。
一通り話終えると
ん~、適応障害の疑いがありますね。
しばらく休んでください。
軽い睡眠薬出しますんで、様子見てください。
と、拍子抜けするような一言。
(辛くて、苦しくてどうしようもないから来たのに・・・)
その思いを言葉にすることなく病院を後にした。
帰りの車の中で一連のやりとりを嫁に説明しオレが納得出来ない旨を伝えると
別の病院行こ
そう言って携帯で調べた近隣の病院にその足で向かった。
すみません、予約でいっぱいで新規の患者さんは診れないんです。
同じ文言で3件断られた。
切羽詰まったから来たのに・・・3か月待ちってなんだよ・・
途方に暮れながら、その日は家路についた。
ねぇ、ここ予約不要だって
嫁が携帯を差し出したのはその日の夜の事だった。
紹介文によると、予約不要、先着順に診療します。との事。
早速翌朝訪ねてみることにした。
駅から徒歩3分程の商業ビルの3階にその診療所はあった。
入口でスリッパに履き替え、自動ドアをくぐると待合室の中には沢山の本棚があり、児童書から難しそうな専門書までずらりと並んでいた。
保険証を受付に出し
初診なんですが・・
と告げるとお決まりの流れで問診票を書き、しばらく待たされた。
名前を呼ばれ、診察室のドアを開けると目を疑った。
部屋中に積み上げられた無数の本
無造作に飾られた電車やら飛行機やらの模型
その奥にかなりお歳を召されたおじいさん先生がいた。
これまでの経緯を子供の頃の事も含め詳細に語った。
先生はただただ話を聞き、
鬱状態ですね。
まずは軽い安定剤と睡眠薬を出しますんで様子を見ますが苦しかったらすぐ来てください。
と言って数種類の薬を処方された。
公式に鬱認定されたのがこの日になる。
鬱病克服体験記3に続く。