信州大(本部・松本市)など地方17国立大の人文社会科学系の学部長でつくる「国立大学法人17大学人文系学部長会議」は26日、国が6月に全国の国立大に対して人文社会科学系学部の見直しなどを求めた通知に抗議する共同声明文を文部科学省に提出した。大学による通知に対する声明文提出は初めて。文科省は、廃止対象としたのは教員免許取得を卒業条件としない教員養成系の「新課程(ゼロ免課程)」と説明する文書を配り、「誤解を招く文章だった」と釈明した。
信大人文学部(松本市)の吉田正明学部長らが文科省を訪れ、国立大学戦略室の春山浩康室長に手渡した。
声明は、通知について「大きな疑問を抱かざるを得ない」とし、「一律に人文社会科学系学部の改革を迫るのではなく、それぞれの大学の特性に応じて柔軟に支援することを強く要望する」などとしている。吉田学部長は「(通知は)誰が読んでも誤解を与える。あまりにも軽はずみだ」と述べ、人文社会科学系学部の存在意義を長期的な視野で評価するよう求めた。
通知は、教員養成系と人文社会科学系学部の廃止や社会的要請の高い分野への転換を求める内容だった。学会などからも「文系軽視だ」との批判が出ていた。春山室長は「『廃止』は『新設』に向けたプロセスとしての意味」などとし、「誤解を招くことになったことはお詫びしたい」と述べた。