ディズニー映画「トゥモローランド」とタイアップして岡山県をPRするポスター。右が伊原木隆太知事【拡大】
岡山県は子供たちに人気のゲームやアニメで流行する岡山弁「もんげー」(「すごい」の意味)を使ったキャッチフレーズや、ディズニー映画とのタイアップで県のPRを展開している。他者の人気にあやかった“便乗宣伝”で、近隣県に後れを取っている観光客誘致につなげる狙いだ。
「どれだけずうずうしいんだ」。5月に岡山県庁で開かれた、ディズニー映画「トゥモローランド」と県のタイアップに関する記者発表。映画をまねて、出演するハリウッドスターの代わりに自らほほ笑むポスターを前に、伊原木隆太知事は自嘲気味に話した。
岡山県によると「明るい未来に向かう移住先」という映画のテーマが、IターンやUターンなどの移住者を呼び込む県の方針と一致。映画の中ではバッジが重要な意味を持つため、県のキャッチフレーズ「もんげー岡山!」のロゴを使ったバッジがあることもタイアップの要因になった。
県側は「映画のPRに全力を尽くすし、それに乗っかって県もPRさせてもらえる」と人気にあやかる思惑を隠さない。
背景には、後楽園(岡山市)や倉敷市などの有名スポットがありながら観光産業が伸び悩む現状がある。
昨年末、日銀岡山支店が発表したリポートは、隣接する広島県などの観光客数がおおむね増加傾向なのに対し、岡山県は減少しており「統計面からは“競り負け”の状況」と厳しく指摘。伊原木知事も「客観的な分析だ」と認める。
岡山県の2013年の観光客数は2394万7000人で、前年より増えたが、記録がある1963年以降最多だった97年の2737万3000人には届かなかった。