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Windows タブレット PC に OS をクリーンインストールするための予備知識

tomoさん2015年5月6日

組織内で Windows タブレット PC を使用したい場合には

米マイクロソフトが米カリフォルニア州サンフランシスコで開催する、年次開発者会議「Build 2015」に合わせて次期 OS の プレビュー版の最新ビルドになる Windows 10 Insider Preview ビルド 10074 の提供が開始されました。一般向けに提供される Windows 10 Insider Preview と企業向けに提供される Windows 10 Enterprise Insider Preview が提供されています。

それぞれ、以下の Web サイトからインストール可能な ISO ファイルをダウンロードすることができます。

URL:Windows 10 Insider Preview ISO のダウンロード

URL:Windows 10 Enterprise Insider Preview のダウンロード

組織内に次期 OS を組織内で効率よく展開するために必要な情報や、ユーザーが快適に使用するために必要な情報などを収集するためにプレビュー版で検証をおこない、導入の準備を進めているシステム管理者がいるのではないでしょうか。

また、一般的なデスクトップやノートブック PC のほかに、使い勝手の良さからタブレット PC の導入を検討している企業も少なくないのではないかと思います。

Windows10-Start

価格的にも比較的容易に手に入るようになった Windows タブレット PC ですが、量販店などで販売されている、安価なものの多くは、標準で Windows 8.1 with Bing など一般ユーザーを対象としたエディションの OS が搭載されています。

組織内で Active Directory ドメインなどのサービスを利用している場合には、クライアント PC で Windows 8.1 Pro や Windows 8.1 Enterprise などエンタープライズ向けのサービスがサポートされているエディションの OS を使用することが必須となります。

URL:Windows 8.1 エディション別機能比較

社内に複数のタブレット PC があるにもかかわらず、エンタープライズ向けのエディションの OS がインストールされてないために、組織内で利用することができない、または利用することができるサービスが制限されてしまう場合などには、対応するエディションの OS をクリーンインストールすることで Active Directory ドメインなどのエンタープライズ向けのサービスを利用することができるようになります。

OS をクリーンインストールするための準備

タブレット PC は、一般的なデスクトップ PC やノートブック PC と同じように、OS やソフトウェアのインストール、キーボードなどの周辺機器の拡張をおこなうことができます。

周辺機器

ただし Windows RT 8.1 などが搭載されている ARM プロセッサ搭載のデバイスにはおこなうことができないので注意が必要です。

今回はタブレット PC に OS をクリーンインストールするための条件や最低限必要なハードウェアなどについて説明したいと思います。

また、インストールする OS は次期 OS のプレビュー版でエンタープライズ向けのサービスをフルに使用することができるエディションの Windows 10 Enterprise Insider Preview ビルド 10074 を用意して、インストールメディアには DVD を使用したいと思います。

作業を進める前に、作業をおこなうタブレット PC を作業前の状態に戻したい場合には、UEFI に対応したクローニングツールを使用したり、USB 回復ドライブを作成したりして事前にバックアップをおこないましょう。

URL:USB 回復ドライブを作成する

今回は Acer 製のタブレット PC の Iconia W3-810 を使用して説明を進めます。

必要なハードウェアを用意する

まず最初に、OS をクリーンインストールするために必要なハードウェアを用意しましょう。

多くのタブレット PC には、ハードウェアを内蔵する拡張スペースありません。

その代わりに、周辺機器を接続するために USB インターフェースが用意されています。

まずは、タブレット PC に備わっているインターフェースを確認することが大切です。

USB には、Micro USB – A(メス)や フルサイズの USB – A(メス)などさまざまな種類があります。

また、備わっているポートの数も重要です。

W3-810 では、1 つの Micro USB – A(メス)ポートが用意されてます。

USBポート

用意されているインターフェースの確認ができたら、最低限必要なハードウェアを用意します。

今回は以下のハードウェアを用意しました。

  • USB A(メス)- USB Micro-A(オス)変換コネクター
  • バスパワーに対応した 4 ポートの USB ハブ
  • USB 接続のキーボード(トラックポイント内蔵)
  • USB 接続の光学ドライブ(電源は別途用意)

まず、重要なのは物理的なキーボードを用意することです。

キーボードがないと、OS のインストールを進めたりすることができません。

また、起動デバイスを選択するためには、物理的なキーボードの操作が必要となります。

機種によっては BIOS の設定の変更が必要な場合があり、操作するには物理キーボードが必要となります。

W3-810 は、電源投入時にファンクションキーの F2 キーを押すことで BIOS の設定画面を表示することができます。

そのほかに、F12 キーを押してメニューを表示させ、選択したデバイスから起動させることができます。

OS はブート可能なメディアを使用してインストールを進めます。

使用するメディアの種類によって必要なハードウェアを用意しましょう。

例えば、DVD メディアでインストールをおこないたい場合には、読み取り可能な光学ドライブを準備する必要があります。

また、機種によっては USB フラッシュドライブから起動することができるものがあります。

状況に合わせてインストールメディアを作成して用意します。

タブレット PC に周辺機器を接続する

W3-810 は USB のポートが 1 ポートしかありません。

複数の USB 機器を接続したい場合には、USB ハブを用意すると便利でしょう。

USB ハブには、USB ポートから電源を供給するバスパワータイプと、USB ハブに AC アダプターなどから電源を供給することができるセルフパワーがあります。

光学ドライブを使用してインストールを進める場合に、メディアを正常に読み取りできない場合などには、セルフパワーに対応した USB ハブを用意するか、光学ドライブに別途電源を供給できる環境を用意しましょう。

タブレット PC の機種によっては、バスパワーに対応していないものがあるのでマニュアルなどを読んで、ハードウェア環境を事前に調べておくことが重要です。

今回使用した W3-810 では、USB A(メス)- USB Micro-A(オス)変換コネクターを使用して 4 ポートの USB ハブを接続しました。

USBハブ

W3-810 では、USB フラッシュドライブから起動させることができなかったので USB 接続に対応したポータブルの光学ドライブを用意して、光学ドライブ用の電源を別途しました。

そのほかに、USB 接続に対応したマウスを用意すると便利かもしれません。

また、機種によっては USB ポートから本体の電源を供給しているもがあります。

インストール中にバッテリーの容量不足にならないように、USB 機器を使用しながら本体に電源を供給することができる OTG に対応したケーブルやハブなどを用意すると作業をスムーズに進めることができるでしょう。

ハードウェアを拡張するための制限があるので、環境にあわせて適切なハードウェアを選択して準備することが大切です。

適切な設定を BIOS におこなう

タブレット PC に物理的なキーボードの接続ができたら BIOS の設定を確認してみます。

電源を入れたら F2 キーを押して BIOS 画面を表示させます。

W3-810-BIOS-Info

BIOS のメニューの Main では、タブレット PC の電源投入時に F12 キーをおすことで起動デバイスを選択することができる画面を表示させる設定がおこなえます。

表示を有効にしたい場合には設定を Enable にします。

W3-810-BIOS-Main

Boot では、W3-810 でサポートされている起動デバイスの起動順序の変更をおこなうことができます。

W3-810-BIOS-Boot

クローニングツールなどを使用した展開を計画している場合には、デバイスの暗号化に注意する必要があります。

ほとんどのタブレット PC には、デバイスを暗号化するためのセキュリティチップが標準で搭載されています。

セキュリティチップが機能が有効な状態で OS をクリーンインストールすると、ストレージが自動的に暗号化されて保護されます。

暗号化された状態では、クローニングツールなどを使用した展開をおこなうことができません。

そのような場合には、事前にセキュリティチップの機能を無効にしておくとよいでしょう。

W3-810 では Security の FTPM Support で機能の有効化や無効化をおこなうことができます。

機能を無効にするには Disable を選択します。

W3-810-BIOS-Security

セキュリティ関連の設定の変更については、組織内で十分に協議したうえでおこなうことをお勧めします。

BIOS の設定を変更したら設定を保存して電源を切ります。

Windows 10 Enterprise Insider Preview をクリーンインストールする

準備が整ったら再び電源を入れて F12 キーを押します。

起動デバイスを選択する画面が表示されると、接続した光学ドライブが一覧に表示されているはずです。

W3-810-BootManu

これで DVD メディアを使用した OS のクリーンインストールをおこなう準備が整いました。

ここで、インストールメディアを起動させるための注意点を一つ説明します。

Windows には 32 ビットバージョン と 64 ビットバージョンの 2 種類があります。

機種によっては 64 ビットバージョンの Windows が動作しないものがあるので注意しなくてはいけません。

W3-810 は 64 ビットバージョンの Windows をサポートしていませんでした。

よって、今回は 32 ビットパージョンの Windows 10 Enterprise Insider Preview を使用することになります。

Windows 10 Enterprise Insider Preview のインストールメディアの準備ができたら、早速インストールを開始してみましょう。

DVD から正常に起動が完了してインストール画面が表示されたら、指示にしたがってインストールを進めます。

Windows10-Inst

無事に W3-810 に Windows 10 Enterprise Insider Preview のインストールが完了しました。

Windows10

実際に使用する機種や環境によっては、別途機器の追加が必要となる場合があります。

十分に調査をおこない検証作業をすすめていきましょう。

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