デジタル家電をめぐる競争が「オセロゲーム」に例えられるように、電機業界では経営戦略の巧拙や外部環境の変化で、勝ち組と負け組が瞬時に入れ替わる。1年前に好決算を発表し、“勝ち組”の一角を占めていた東芝はその後、利益水増し問題の発覚で過去に遡って業績が引き下げられる事態に陥った。一方、スマートフォン事業の不振で巨額赤字に陥ったソニーは復調を鮮明にしつつある。利益がかさ上げされていた東芝はもともと、業績が良くなったともいえるが、ソニーとの明暗が鮮やかに逆転したのは確かだ。
「(本業のもうけを示す)営業利益は過去3番目の高水準。最終利益は308億円と、リーマン・ショック後で最高になった」
昨年10月30日。東芝の前田恵造専務(当時)は、平成26年9月中間連結決算発表の席上、好業績に胸を張った。通期で過去最高益の更新を見込んでいた同社は、日立製作所や三菱電機と並び、電機業界の勝ち組に位置づけられていた。
しかし、その後、東芝の業績の大部分が“虚妄”だったことが、明らかになったのは記憶に新しい。4月に存在が公表された利益水増し問題は、最高益の計上に固執し、幹部に過度な圧力をかけていたとされる田中久雄社長(当時)ら、歴代3社長の辞任につながった。前田氏も専務を辞任した。
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