インフレが日本を救う

日銀はインフレ目標を貫徹する姿勢が重要だ

追加緩和の有無よりも大事なことがある

10月22日、ドラギECB総裁が12月の追加金融緩和を示唆したことを、市場は大きく好感した(写真:ロイター/アフロ)

時計の針を2015年初まで少し戻そう。1月はECB(欧州中央銀行)による量的金融緩和(QE)が注目された。ECBがFRB(米連邦準備制度理事会)や日本銀行に追随、オープンエンド(無期限)に近い量的金融緩和を採用したことがサプライズとなり、為替市場では大幅にユーロ安が進み、ドイツ10年国債金利は一時0.2%台まで低下した。

中央銀行と市場の間に生じたズレ

4月末からドイツ長期金利の低下が止まると、複数のECB高官が債券市場のボラティリティの高まりを容認する姿勢をみせた。ECBは金利低下が行き過ぎている(日本10年国債金利の水準を下回った)と認識、金利上昇を容認した。市場はECBの金融緩和策の一貫性に疑念を抱き、その後約2カ月弱でドイツの長期金利は大きく上昇、金融市場はやや混乱した。

9月、FRBは市場から利上げ開始の可能性が半分程度想定されていた中、FOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げを見送った。「最近の世界経済や金融市場の動向(8月後半からの株式市場の急落)が米経済を下押しする」という理由からだった。

この直後に、FRBが判断を変えざるをえないほど「経済が低調」との疑念が高まり市場心理が悪化、9月末まで約2週間、株式市場を中心にリスク資産が売られた。当時の市場の疑念は、悲観心理の行き過ぎがもたらしたと筆者はみている(=利上げ先送りの判断は悪くなかった)。短期的な影響だったにせよ、FRBと市場のコミュニケーションのズレ(行き違い)が、市場心理と価格形成に無視できない影響を及ぼした。

このように、2015年は中央銀行と市場の間にできたズレが、市場の価格形成に影響を及ぼす場面がみられた。では、日本銀行の金融政策は市場にどのような影響を及ぼすだろうか?

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