このような多くの言葉の中でどのようなものが肯定的な言葉なのかが気になって、「データの中のうそと他の言葉」の肯定率をそれぞれ比較してみました。するとうそよりもいい言葉は当然ありましたが、比較すると悪い言葉もかなり多くあることが分かりました。
まず、肯定的な言葉では「あいさつの言葉」や「温かい言葉」のように誰が聞いても気持ち良く受け取れる言葉があります。意外なところでは「社交辞令」もかなり肯定的な役割をしていることが分かります。出勤途中のエレベーターで出会った上司に「今日のネクタイ、決まってますね」と話し掛けるのが「お世辞」のいい例です。大した意味のない口先だけの言葉ですが、聞く人は気持ちよく肯定的に受け入れることができます。
では、うそよりも悪い言葉とはどんな言葉でしょうか。「陰口」「とげのある言葉」「話を変える」「ぞんざいな言葉」などがこれに相当します。言葉を通じて千両の借金を返済することもありますが、悪い言葉はむしろより大きな負債を負ってしまう近道になるというのです。グループトークに招待せずに自分たちだけで他人の悪口を言い合うネット上の「いじめ」はまさに「陰口」に相当し、相手を無視して自分が優位にあることを誇示するために使用する非論理的な表現は「ぞんざいな言葉」ということになります。
ひどい表現で相手の心を傷つけるとき、話す側と聞く側の脳は両方とも傷ついているといいます。序列や権威を超えて社会に属する全ての人が互いを思いやる言葉、上下関係を意識させない平等な世の中で使用される美しい言葉が、ますます増えることを願ってやみません。