少し前まで、兵士たちが外部と私的に電話できる唯一の手段は公衆電話だった。しかし最近は、知らない番号からかかってきた電話には出ない人が多い。軍人の男友達を持つ女性たちがインターネット上で集まる「ゴム靴の会」は、「1633(コレクトコール)で始まる電話を知らなくて、電話に出なかった」といった経験談であふれている。兵士たちのこうした需要を考慮し、部隊内の公衆電話から電話をかけても外で使っていた自分の携帯電話の番号が発信番号になるようにする、軍人専用料金制度まで登場した。既に一部の部隊では、貸与スマホとは別に、兵士個人の携帯電話の持ち込みを許した上で、電源を切って保管しておき、部隊の外へ行くたびに出してやる、ということもしている。
懸念の声も、ないわけではない。韓国軍ではこれまで、フェイスブックなどを通して部隊の訓練計画などが流出するなど、保安事故が絶えなかった。個人用のスマホをビニール袋に入れて人目につかない場所に埋めておき、隠れて使ったという「武勇談」も、予備役兵の間ではやっている。兵営に普及した貸与スマホが、一部の最先任兵士の専用電話と化したり、スマホをもっと使おうと先任兵が後任兵のUSIMカードを取り上げたりといった、新たな兵営悪習が生まれかねないという懸念もある。韓国軍の関係者は「機務司令部(韓国軍の情報部隊)の保安審査をパスしたスマートフォンだけを貸与するので、保安を害する要素はないだろう」と語った。