警察官は治安維持と法執行の第一線に立つ公務員だ。正常な国家では、制服を身に着けた警察官はそれだけで法と権威を象徴する。しかし現在大韓民国では、警察官が苦情を申し立てる者と犯罪者にあちこちで振り回される「感情労働者」として分類されているのが現実だ。韓国雇用情報院が13日に発表した分析結果によると、警察官は韓国の730種類に上る職業のうち「気分を害されたり無礼な行為に遭遇したりするケース」が最も多いことが分かった。気分を害されながらも自分の感情を抑制し、表情を管理しなければならない代表的な感情労働者として挙げられるテレマーケティング従事者、保健衛生、環境検査員らと共に1位タイとなった。警察が毎日のように遭遇する現場の状況に迫ってみる。
#1 今年8月、ワンピース姿のAさん(31)=女性=がソウル市江南警察署1階の刑事当直室に連行された。明け方まで酒を飲んでいたところ、隣の客と口論になり、暴力を振るってしまったのだ。当直の警官たちは、酒に酔ったAさんが暴れるため手錠をかけたが、Aさんは「たばこを持ってこい」と大声で叫び、わめき続けた。警察が返事をしなかったところ、Aさんは中傷罵倒を浴びせ、服を着たままその場で大便をした。警察は、女性警察官を呼んでAさんにシャワーを浴びさせた後、ジャージーに着替えさせた。当直室にいた警官は「『こんなことがしたくて警察官になったんじゃない』という思いがこみ上げ、突然腹立たしくなった」と話した。