韓国では、個人や企業の負債がかつてない様相を見せている。債務の残高は毎月過去最高を更新し、恐るべきスピードで増加し続けている。時価総額トップ10の企業を2回ずつ買収できる以上の金額を、個人が負債として負っているのだ。
企業の負債はさらに深刻だ。営業利益で借入金の利子も返済できない、いわゆる「ゾンビ企業」が上場企業の3分の1に達する。弱い立場になった銀行が融資金を回収できなくなることを恐れ、破綻(はたん)しつつある企業に融資し続けた結果だ。
ドルという強力な武器を持つ米国は、大量の紙幣を刷って金融危機を乗り切った。そうした大国の手法を使えない韓国は、「借金爆弾」が破裂すると税金を投じて債務の構造調整を行ってきた。
かつてないほどに膨れ上がった負債がどこへ向かうのか、今は分からない。借金の返済を放棄した債務者たちが銀行をつぶし、国の経済の足を引っ張ったギリシャのような「負債の悪夢」が韓国で再現されるという最悪の事態は避けねばならない。成長率3%の達成も厳しい低迷した韓国経済は、以前のような債務の構造調整に耐えられない。だからこそ、先の国政監査で経済官僚たちが見せた「まだ大丈夫だ」という余裕の態度が、危うく見えて仕方がない。