【コラム】ワシントンに親韓派の「ムクゲクラブ」が必要だ

【コラム】ワシントンに親韓派の「ムクゲクラブ」が必要だ

 米国の次期大統領選挙の共和党候補指名争いでリードするドナルド・トランプ氏が先ごろある講演で、根拠のない「安全保障ただ乗り論」を持ち出して韓国を批判したとき、その場でマイクを取って発言を正したのは韓国系の大学生だった。彼は数カ月前、安倍晋三首相がハーバード大を訪問した際にも旧日本軍の慰安婦問題について鋭い質問を投げ掛けた。彼は「影響力のある人が間違ったことを言えば、知らない人は真実だと思ってしまう」と述べ「もどかしさのあまり」積極的に質問したと明かした。

 さらにもどかしいのは、たった1人の韓国系大学生が東奔西走して大物と対決したという事実だ。韓国に関する誤った情報について、韓国の立場で説明し、論述してくれる人が米国にはこんなにもいないのか。韓国国際交流財団の柳現錫(ユ・ヒョンソク)理事長は「米国で韓国専門家といえる人がごくわずかなため、何か起きたときに韓国の立場を説明してくれる人があまりいないのが実情だ」と語る。この現状を変えるため、国際交流財団は先ごろ、米シンクタンクと共同で次世代の韓半島(朝鮮半島)政策専門家を自ら育成することを決めた。

 韓国外交部(省に相当)の内部でも、政策分野の広報外交が弱いという自省の声が出ている。これまで、韓国のイメージを一段階アップさせるための外交活動は一定の成果を挙げた。K-POPや韓流も利益を生んだ。だが具体的な政策広報は不十分だったというのが衆論だ。

 同盟相手であり、同時に国際社会で強い影響力を行使する米国に韓国の立場を理解してもらうことは、国益に直結する。そのための最も簡単な方法は、ワシントンのシンクタンクに働き掛けることだ。米国のシンクタンクは専門性と情報を基に政策アイデアを出し、簡潔な報告書を提出する。政治家や官僚もこれを丹念に読み、アイデアを得る。そのため、シンクタンクを米国の政策方向に影響を与えるためのルートとして活用すればよいのだ。

 日本はこうした手法をよく活用してきた。ワシントンには「菊クラブ」と呼ばれる親日派・知日派の人々がいる。長きにわたり日本に関心を持ち、研究してきた外交官やシンクタンク研究員たちだ。彼らは米国国内で、日本に有利で友好的な声を上げる。今年2月、当時のシャーマン国務次官が韓中日の歴史問題をめぐる対立について「3カ国全てに責任がある」という趣旨の発言をしたことや、シャピロ元商務次官が昨年、韓日関係を念頭に「ベトナムは過去を差し置いて韓国との関係正常化に合意した」との主張を雑誌に寄稿したことも、菊クラブの影響によるものと分析される。

姜仁仙(カン・インソン)論説委員
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