中国や北朝鮮から、現在まで、また今後も当分「ノーベル賞クラス」の抜本的な基本業績が生まれてこないのには理由があります。
それは、あらかじめ「正解」とされるものにタガが嵌められており、「党の方針」や「首領様の考え」に一致しないものは、そもそも研究の対象から排除されてしまう可能性が高いから。
しかし、これを日本人が他人事と言えないリスクも存在します。ペーパーテストの弊害です。
つまり「党」や「首領様」に関係なくても、すでに存在する「正解とされるもの」あるいは「前例」「前任者がそうしているから」といった慣例の無批判な繰り返しに終始すれば、日本だって中国や北朝鮮の陥る弊害に、簡単に引っかかってしまうと思います。
そこで、以下では私がごく最近目にして、たぶんこの先にノーベル賞につながる成果が出るだろうと見当をつけた業績を1つご紹介してみたいとおもいます。
100円ガン検査:患者の尿に集まる線虫
九州大学理学部の広津祟亮(助教)先生は、面白いことを考えました。
「なぜ人は、花の香りとおならの臭いを、混同しないのだろう?」
澁澤龍彦の小説「高丘親王航海記」には、美しい夢を食べたバクがピンク色のおならを発し、それが甘美な香りを漂わせるという話が出てきますが、現実の世界に生きる私たちは、決しておならと花の香りを混同しません。
だから、トイレの芳香剤に花の香りのごときものが多いわけではないでしょうが・・・。
生物は「香り」をどのように識別しているか、その研究の「モデル生物」としてCエレガンスという「線虫」が世界的によく使われています。
広津先生は、人よりはるかに鋭敏な臭覚を持つ「線虫」を使って「花」と「おなら」を嗅ぎ分けさせてみよう、と思い立った・・・らしい。