ゴールドマン、海外事業者向けに太陽光ボンド組成へ-日本国内で初
2015/10/26 15:55 JST
(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス証券は海外の企業が国内で取り組む太陽光発電事業のプロジェクト債を年内に組成する。海外企業による国内太陽光事業のプロジェクト債は日本初。国内の再生エネルギー市場が政府の電力買い取り制度で拡大する中、外資系企業による国内市場への参入を資金面で支援する。
今回、ゴールドマンが組成するプロジェクト債は、カナダの太陽光発電会社カナディアン・ソーラーが開発する青森県六戸町に建設する約1万キロワットの太陽光発電事業から得られる収益を裏付けとしたもの。年限は19年、発行額は30億円となっており、総事業費の90%をプロジェクト債で調達する。日本格付研究所(JCR)から26日、シングルAの予備格付けを得ている。
ゴールドマンは2013年以降、ジャパン・リニューアブル・エナジー、日本アジアグループ、栗本ホールディングスの3社による16の太陽光発電事業(計5万8000キロワット)に対し、計173億円のプロジェクト債を組成。国内企業にとどまらず海外の企業の参入も支援し、将来的には計10億ドル(1189億円)規模のプロジェクト債組成を目指している。
同社資本市場本部インフラストラクチャー・ストラクチャード・ファイナンスの井上徹部長は、国内では新規の再生可能エネルギー事業案件が増えており「外国企業の参入が増える」との見方を示した。世界最大手の一角であるカナディアン・ソーラー向けのプロジェクト債組成は、「次のステージを象徴している」と述べた。
60万キロワットカナディアン・ソーラーは太陽光発電パネルの販売事業で日本市場に参入。再生可能エネルギー由来の電力を一定の価格で買い取ることを電力会社に義務付けた買い取り制度が導入された12年には発電所開発事業にも参入し、国内で計60万キロワット相当の太陽光発電事業を計画している。同社が運営する太陽光発電所の出力の規模を年内には計2万キロワット程度にすることを目指している。建設中のものと間もなく建設を始めるものを合わせると、出力は計8万8000キロワット相当に達する。
同社で資金調達を担当するクリストファー・リー氏は、プロジェクト債による資金調達を選択した背景について、60万キロワット規模の計画を持っていることから戦略的に国際的な金融機関や邦銀、債券とすべての調達手法を試したかったと述べた。今回の事業では、銀行融資よりも年限が長く競争力のある金利が得られ、総事業費に占める負債の比率を90%まで上げることができたことから、自社の投資リターンを最大限まで拡大することができたという。
ゴールドマンの井上氏も、案件ごとに融資や債券の条件は異なるため「いくつかの資金調達方法を絶えず並行して検討する」ことを事業会社に推奨する。一方、新規に国内市場に参入する外国企業にとっては、信用力や取引関係が条件に反映される銀行融資よりも事業のキャッシュフローで発行条件が決まる債券の需要が高まる可能性があるとの見方を示した。
出力抑制格付投資情報センター(R&I)ストラクチャードファイナンス本部の森丘敬チーフアナリストは、ゴールドマン以外にも再生可能エネルギー事業のプロジェクト債組成を検討する金融機関が増えており、機関投資家の間にも「再生可能エネルギーの案件を積極的に検討していこうという動きがある」と述べ、需給両面から市場拡大する可能性を示した。
固定価格買い取り制度の対象として認定されている太陽光発電設備は3月末時点で8300万キロワットに達しており、30年度の政府の導入見込みを約3割上回っている。カナディアンソーラーが開発を計画している計60万キロワットの設備もすでに認定を取得済みだ。
今後新たに設備認定を申請しなければならない事業については、電力会社の送配電網の安定性確保を理由に出力が抑制される可能性があることから、R&Iの森丘氏は「キャッシュフローが読みにくく、事業実施やファイナンスを付けるのが難しくなる」と指摘する。出力抑制の影響次第で、長期的にプロジェクト債の市場拡大が続くかについては懐疑的だと話した。
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更新日時: 2015/10/26 15:55 JST